美味延年
納豆が好きだ
鵠沼海岸に住んでいた幼い頃、納豆屋さんが毎日のように自転車で我が家の前に来た。荷台の箱に入った納豆をしゃもじのようなものですくい、経木にのせ、横に真黄色な辛子を添えて包んでくれたのが懐かしい。
婆さんは、醤油よりも塩のほうが糸を引いて旨いよ、と教えてくれたが、私は醤油のほうが好きだった。
納豆が好きだ。冷蔵庫に欠かしたことはない。納豆にも小粒、大粒など色々ある。笑われるかも知れないが、私の好きなのは「ひきわり納豆」だ。特に銘柄は気にしない。安価な三段積みの納豆で良い。
ご飯でも麺類でも、ひき割りのほうが絡みやすくて良い。
納豆は朝ごはんに食べる人が多いようだが、私の朝は洋風なので昼間に食べることが多い。納豆そば、納豆スバゲティ、納豆チャーハンも旨い。これからの季節は納豆素麺も旨い。
そして、夕になれば晩酌のツマミには、納豆にきざんだオクラをからげ、鰹節を少しかけても旨い。冷奴に乗せても、油揚げに添えても、単純に海苔で巻くだけでも旨い。
家の近くの蕎麦屋「赤星」に行けば、まず生ビールと板わさをたのむ。グビッと飲んだら、次は冷酒と、この蕎麦屋の名物とも言える揚げ納豆を頼む。たこ焼きより少し大きめの揚げ納豆が2個皿に盛られ、ほのかに甘いタレがかかっている。これが旨いのだ。他の店でも揚げ納豆を食べたことはあるが、この店が一番だ。
藁苞(わらつと)に入った本来の納豆を食べたことがあるが、正直なところ、スーパーで売っている樹脂ケースに入った納豆の方が私の口には合っている。
随分前になるがデパチカで、藁苞納豆らしき物を買ったことがある。帰宅後に開封したら藁苞は飾り物で、中にはビニール袋に入った納豆が入ってがっかりしたものだ。
納豆の話をしているとキリがない。話もネバネバと糸を引く。
あのネバネバした口当たり、なんとも言えない臭い、メシにも麺にも、ツマミにもあう。しかも滋養豊富。納豆バンザイだ。
うまい魚が喰いたい
藤沢の「藤保水産(ふじやすすいさん)」、食いしん坊には有名な魚屋だ。昭和30年代にはじまり現在三代目だ。入口を入ると様々な魚や貝が姿のまま箱に分別されて並べられている。昔の魚屋はこうだったよね、と思い出す。
スーパーで売っている魚と比べると、この店の魚は、生き生きと光っている。目の輝きも違う。毎日、扱う魚はかわるので、見たこともない魚や貝が並ぶこともある。私の好きな生牡蠣も、ほとんど毎日ならんでいる。
昔の魚屋のように、頼めば三枚におろしたり、柵にしてもらったりなど、下ごしらえもしてくれる。ほかには刺身の盛り合わせや、店が作った塩辛などの既製品もおいてある。嬉しいことに、大好きな新島の大きな「くさや」がいつも鎮座している。
私の家から行くには少し不便だ。小さなミニバスで藤沢駅南口まで行き、北口にまわり数分歩いて行くしかない。店の裏側には来客用の駐車場もあるが、なぜ歩いて行くのか。それは店の2階にある食堂でランチと一緒にビールも飲みたいからだ。
この食堂、11時から午後2時までの営業で、昼時には階段に列ができる。店内の紙に名前を書いてならんで待つ。
メニューは何種類かのランチセットのみ。残念ながらビールは缶ビールだ。魚の味はもちろん新鮮で旨いものの、店の雰囲気は落ち着いて食べるような店ではない。缶ビールで喉を潤し、うまい魚をガバっと喰っておわり。そんな雰囲気の食堂だ。しかし、しばらくするとまた行きたくなる食堂だ。
先日は、ランチの後、一階の店内でノドグロを買ってかえり、刺身におろして食べた。自分の包丁使いなので格好は悪いが旨かった。(写真→)
最近、町中には魚屋がなくなった。魚はスーパーで買う人が多い。聞いた話だが、小さな子供を水族館に連れて行ったが、子供は「魚はどこにいるの?」と聞いたという。子供はスーパーに並んだ「切り身」が魚の姿と思っていたという。
私がこの藤保水産に行き、下手な調理で舌鼓を打つのは、月曜と木曜が多い。何故? 我が家の地区は、火曜と金曜が生ゴミ回収日なのだ。最後は所帯じみた話にて失礼。
■藤保水産と食堂
https://www.fujiyasudesu.com
神奈川県藤沢市藤沢541
0466-22-4838
あとをひく味
鎌倉、下馬交差点の信号待ちは長い。昼時に、信号待ちをする度に気になっていた行列。由比ヶ浜通りをゲバ交差点の方に向かい、角の銀行の手前の店だ。
車窓からでは何の店だかわからない。もっともらしい暖簾(のれん)が風に舞っているだけ。列に並んでいる人は眩しそうに、しかし大人しく順番を待っているようだ。
私の好まない店の三条件、それは「食べ放題」、「時間制限がある」、そして「列に並ぶ」だ。しかし、その条件を差し置いても、気になったこの店。ネットで調べると、なんてことない、「きらさ」というラーメン屋らしい。
「ラーメンなら、多少ならんでもいいか」
という気持ちで、開店の11時に間に合うようバスで行ってみた。昼ビールも飲みたいのでバスにした。
下馬でバスを降り、店にむかう。幸運にも、この日はたった二人が待っているだけだった。店の外の小さな椅子に腰掛け、しばし日光浴。店の表側には屋号もなにも書かれていない。私の前にならんだ人が、見ていたメニューを渡してくれた。品数は多くはないが、一工夫ありそうなネーミングの麺が何種類か書かれている。
十分ほど後、「どうぞ」と呼ばれ暖簾をくぐり中に入る。以外に狭い店だ。二人が向かい合わせで座る小さなテーブルが数卓あるだけだ。壁際の椅子はすべて茶箱を利用しているのは渋い演出だ。
奥の厨房がけっこう広い。概して厨房が広い店は旨い。ちょっと期待が持てそうだ。さっそく小瓶ビールと、メニューから「白たまり麺」を頼む。メニューの説明で、この麺はあっさりしているとのこと。爺にはあっさりが一番。
ビールを飲み干すころ、はこばれてきた丼のスープは、透明にすき通っている。まずスープを一匙。プ〜ンと鼻に漂う出汁のいい香り。う〜ん、これは旨い。もう一匙。間違いない。
麺も細からず太からず、すなおな腰もある私の好みの麺だ。あっという間にスープも麺もすべて完食。
鎌倉には、「はなび」、「赤坂飯店」などラーメンの美味しい店はいくらでもある。しかし、何かのついでに行くくらいだ。しかし、ここ「きらさ」のスープの味は「あとをひく」、近々もう一度行くことにしよう。列が短いと良いのだがーー
■店情報
「きらさ」
0467-81-4686
木曜定休 ほか売り切れ次第閉店
逗子の美味しいレストラン
たびたびこのページでも触れているが5/17は昨年に続き第二回「鎌倉山ミュージックデイ」だ。鎌倉山にあるレストラン、蕎麦屋、集会所などで、ジャズ、クラシック、フォーク、ロックなどいろいろなジャンルの音楽が鳴り響く。(詳しくはライブ予定ページで)
そしてこの日のために私は「鎌倉山バンド」を結成。打ち合わせがてら一献ということになり、場所はメンバーHさんの娘さん夫妻がやっているレストランに決まった。横須賀線逗子駅のすぐそば「海畑マルシェ太陽」というレストランだ。
店内からは眺望もよく、明るい雰囲気。4人がけのテーブルが数卓ある。
我々は開店の17:30に集合。まず、バンド結成を祝して横須賀ビールで乾杯。私の大好きなIPAの生ビールだ。旨いぞ!
突き出しからはじまり、次々と料理が運ばれる。お刺身、サラダなど一皿一皿の食材が実に新鮮だ。この店はビルの5階にあり、一階が魚屋なので、そこの魚かと思いきや、魚は毎朝三崎漁港や長井漁港で直接仕入れた鮮魚を使用しているという。野菜やお肉も、前記したビールでさえ三浦半島の新鮮な食材だ。
揚げ物、エボダイの塩焼き、煮魚など次々とたいらげ、お店が勧めてくれた美味しい白ワインも美味。さらに日本酒に乗り換え、いつの間にか酔もあいまって、陽気に世間話に花が咲き、バンドの話はどこへやら。
徐々に他のテーブルにもお客様が来て、いつの間にか満席状態。みな静かに料理を吟味している。我々の席だけ妙に盛り上がっていたような気がする。
本題のバンドの打ち合わせは練習日を決め、各人のやりたい曲の候補を出しただけ。細かいことは一方的に私に委ねられた。
気がつけばもう8時半。3時間もいたことになる。
いい店を知った。改めて新鮮な食材を味わいに再訪したい。
■お店情報
海畑マルシェ太陽
http://zushi-taiyo.com
逗子市逗子2-6-31魚佐次ビル5F
046-876-5160
火曜定休
パン
4/12は「パンの日」。これは、1842年(天保13年)4月12日、伊豆国の韮山代官であった江川太郎左衛門が軍用携帯食糧として「兵糧パン」と呼ばれる「乾パン」を作ったことに由来するとのこと。
若い頃、私が努めていた会社では、非常時の食料として缶詰の乾パンが大量に保存されていた。5年の賞味期限が近づくと、新たな缶詰の備蓄と平行し、古い乾パンは職場に放出され酒のツマミとしてガリガリ食べた思い出がある。ふしぎと金平糖が入っていた。何故? この文を書くにあたって改めて金平糖の謎を調べてみた。
カンパンを製造している会社によれば、金平糖によって唾液の分泌を促し、水分の少ないカンパンを食べやすくするためとされている。
非常時には水が手に入りにくいことも考えられるため、金平糖をなめることにより唾液で口内が潤うことを利用した組み合わせ、とのことだ。更に金平糖の糖分は、災害時の疲労回復や心身の癒し効果もあるらしい。
時代は進み、今はあの不味い乾パンではなく、美味しそうな非常食が多く出回っている。ちなみに私は非常食用の抽斗にサバ缶、コンビーフ、ビーンズの缶詰、レトルト玄米を備蓄し、普段でも少しずつ食べては、無くなりそうになると補充している。さらにガレージには大量の飲料水を保存してある。
話をパンにもどす。昔はフランスパンと言えばドンクが有名だったが、近頃は近隣のパン屋で美味しいパンが作られるようになった。そして、おいしく焼けるトースターも進化を遂げている。
不思議なことにメロンパン、アンパン、カレーパンをはじめパンの格好だけは変わらない。あの格好もきっと何か理由があるのだろう。そのうちにまた調べてみることにしようか。
さて、今日のランチは大好きなルーベンサンド(後記)でも作ろうか。ビールにもあいますよ。
■ルーベンサンド(Reuben sandwich)
ライ麦パンにコンビーフ、ザワークラウト、スイスチーズ、ロシアンドレッシングまたはサウザンドアイランドドレッシングで味付けし、挟んでグリルしたホットサンドイッチ
ベトナムの味
娘、孫二人と、ベトナムに一週間の旅、いろいろ食べたがみな同じ様な味付け、というのが正直な印象だった。ベトナムと言えば、米粉から作った麺「フォー」(写真)が有名だが、太いの、細いの、きしめん風など色々ある。ほかにはライスペーパーで巻いた生春巻きのようなもの、それを揚げた、まさに細い春巻きなど、いろいろ食べた。
ほとんどの食事は魚醤の味付けがされている。
フォーは、まさに国民食、レストランのほか屋台でも、市場の片隅でも、彼らは朝昼晩の区別なく食べているようだ。
ほかにはバインミーというベトナム風サンドイッチが有名なようだが、これは食べる機会はなかった。
今回の旅は観光ツアーのパッケージに組み込まれている食事が多かった。代表的なベトナム料理や魚料理コースなどあったが、印象的なのは宮廷料理のランチだ。料理自体は代表的なベトナム料理だが、一皿一皿に大根、人参など食材を彫刻し孔雀や鳥などを形どった動物がついてくる。 (写真)
動物の唇は唐辛子のカラがさしてある。これはどのように食べるのか迷っていたら、ガイドさんが飛んできて「これはたべられません」と説明してくれた。よくみると使いまわした形跡も伺われる。
ずいぶん昔になるが沖縄の宮廷料理でも同じ様な細工が施されていたのを思い出す。沖縄のほうがはるかに繊細な彫刻だったがーー。
ベトナムは昔フランス領ということもあり、娘や孫が調べてくれたフレンチレストランに行った。多少綺麗な格好に着替え、ホテルから歩いて15分ほどの「LA TABLE 」という店だ。
ホテルのスタッフが言うには、特に予約は必要ないとのことだったが、ドアを開けると「ご予約は?」と聞かれる。娘が4人だと言うと、[RESERB]と書かれたサインをテーブルからどけてくれた。
メニューを見る。うれしいことに生牡蠣があり、ドリンクメニューには私の好物ドライマティにもある。同行3名は飲み物のほかはステーキコース、私は牡蠣とマティ二のほかは牛の頬肉のソテーを頼む。全員の肉に高価なトリュフをおろし金ですりおろしてくれるなど、サービスも良い。少しずつシェアーし味見をしたもののどれも美味。ワインも美味しく大満足のレストランだった。
このレストラン以外でもワインを飲んだものの、この店にはとても及ばず。ビールもいろいろ飲んだが、日本のビールと比べるとなんとなく薄味。魚醤味のベトナム料理には、薄味ビールが会うのかも知れない。
帰宅して、すぐ冷蔵庫から取り出した日本のビールが喉にしみた。
■お店情報
La Table Hoi An
住所:
Phường Minh An, Tp. Hội An, Quảng Nam, Vietnam, ホイアン ベトナム
えにし
鎌倉駅東口から歩いて3分「丸七商店街」をご存知だろうか。足を踏み入れるのにちょっとためらってしまうようなうす暗い雰囲気の商店街だ。まるで昭和の時代から置き忘れられているようなレトロな商店街、せまーい通路には、居酒屋、雑貨店、洋服屋、花やなどが居並ぶ。映画のロケに出てきそうな雰囲気は、あたかも昭和にタイムスリップしたような気分が味わえる。
その商店街の中に今回紹介する寿司屋「えにし」がある。ガラリ戸をあけるとカウンター席が5席、無理しても6席が限界の小さな寿司屋だ。
肩を寄せ合いながら座っていると、となりの見知らぬ人とも自然に会話が進む。俗に言う「町の寿司屋」だ。
鎌倉には寿司屋が多い。回転寿司、高級寿司店、ちょっとお洒落な寿司屋、ギネスブックにも登場する寿司屋もあるが、「えにし」の様に一人でも、子供連れでも気楽に入れる町の寿司屋はない。そして、ここの板さんの腕が良い。ツマミも旨い。
先日ふらっと立ち寄った。幸運にも一席だけ空いていた。何度か来たことがあるが、外に満席と書いた看板が置いてあることが多く、今回はラッキーという気分だ。
まず生ビール、ツマミにナマコ酢とカワハギを頼んだ。旨い! 更に熱燗、ブリ刺などツマミながら、隣に座っている白髪の女性と話が弾む。彼女は娘さん二人を伴っての来店だ。娘さんたちは外国で暮らしているので帰国するとこの店に来るという。彼女たちの向こうに座っている中年の御夫婦も、店の女将さんも話に加わる。店全体が、和気藹々となる。
その後、私は熱燗のおかわり、寿司は3種類6貫いただいて、勘定。
本数の少ないバスの時間に合わせて帰宅した。
ネットの情報では予約可とされているが、私の知る限りでは予約が出来るのは開店の午後5時だけのはずである。また、支払いは現金のみ。トイレは商店街共通のトイレが外にあるだけである。
心も胃袋も温まる町寿司「えにし」、しばらくしたらまたフラッと立ち寄ろう。その時も座れると良いのだが---。
<お店情報>
「えにし」
鎌倉市小町1-3-4
0467-25-0204
定番 サラダ三昧
私は、朝おきてすぐに前日の日記を書く。無地のノートに万年筆で縦書きする。日付と天気のあとに前日の三食に何を食べたかを書く。これはボケ防止のためでもある。大概の食事内容は覚えているのだが、その固有名詞が浮かんで来ないこと度々だ。つい先日も「スンドゥブチゲ」の名前がどうしても思い出せない。しかたなくゴミ箱をあさって、前日のゴミの中から入っていた袋を探し出し、やっと解明した。どうも外来語の固有名詞が出てこないことが多い。
前置きはさておいて、その日記の朝食に「定番」と書くのが写真の朝飯である。
まずコップいっぱいのトマトジュース。そして半熟ゆで卵一個、ヨーグルトにフルーツと蜂蜜をたらす、コーヒー。さらに主食とも言えるのが大盛りサラダだ。基本は玉ねぎスライス、レタス、きゅうり、トマトの4種類、それに加えてアボカド、スナップエンドウ、セロリ、オクラ、ブロッコリー、アスパラガスなどの中から2種類ぐらいの野菜を加える。以上が朝飯だが、これをすべて毎朝日記に書いていては時間もかかるので、題して「定番」と記入する。
たまに、和食や、ホットケーキ、フレンチトーストも食べるが年間250日以上はこの「定番」メニューだ。ドレッシングを変えてみたり、ヨーグルトの種類を変えてみたりもするが、このメニューが気に入っているし、飽きない。我ながら「最高の朝めし」と思っている。
とくにサラダは凝りだしたらきりがない。ベーコンやハムを加えても良い。最近は袋詰めのサラダ豆をトッピングすることが多い。トッピングと言えば、くるみやナッツを細かく刻んでかけるのも旨い。カッテージチーズ風に豆腐を手でもみ潰してトッピングすることもある。ワカメを加えて海藻サラダ風にするのも良いだろう。
昼と夜のメニューに「定番」はない。昼は蕎麦、ラーメン、スパゲティなど麺類が多い。蕎麦を茹でた時は蕎麦湯も楽しめる。余った蕎麦湯は、晩酌のときに焼酎の蕎麦湯割にして楽しむことが多い。
晩飯は、なるべくバラエティ豊かにしているつもりだ。いつも一人飯なので、あまり手の込んだ料理はしないが不味いものは喰いたくない。
メシのことを書き出すとキリがない。そのうち、一人老爺のディナーメニューについても書こうかな。

ヨーグルト
私は牛乳、チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリームなど乳製品が大好きだ。なかでもヨーグルトは毎朝食べる。
ヨーグルトの思い出は多い。幼少の頃は、小さな瓶に入っている甘酸っぱいヨーグルトを小さな木のスプーンでよく食べた。あの味がヨーグルトだとばかり思っていたが、1970年の大阪万博の海外パビリオン(国名は覚えていない)で食べたヨーグルトに驚いた。ただ酸っぱいだけの白いヨーグルトだ。初めて知ったプレーンヨーグルトだった。
私が毎朝食べているのは、プレーンヨーグルトに何かしらのフルーツを添え、蜂蜜をすこし垂らしてスプーンで掬ってたべる。一緒に食べるフルーツはいろいろ試したがブルーベリーやパイナップルがとてもよく合う。しかし年金爺としては高価なので、安価なバナナや林檎、季節によって柿やみかんなどもよく使う。

単にヨーグルトとは言え、おどろくほど色々な種類が販売されている。プレーンをはじめ、ハード、ソフト、フルーツヨーグルト、ドリンクヨーグルト、そして私が一番気に入っているのが濃縮ヨーグルト、俗にギリシャヨーグルトと言われているタイプだ。しかし、このギリシャヨーグルトは一般のものと比べると値段が高いので、毎日食べるわけには行かない。
そんなある日、テレビでヨーグルトの特集をやっていた。やはりギリシャヨーグルトは高級ヨーグルトと紹介されていたが、プレーンヨーグルトに一手間かければ、つまり濃縮すればギリシャヨーグルトに近いものなると言う。さっそく、その方法を試してみた。
普通のプレーンヨーグルトをコーヒーフィルターに入れ、濾しながら一晩冷蔵庫に入れておくだけとのこと。さっそく試してみる。大成功。すこし硬すぎるぐらいだ。いろいろ調整時間を試した結果、私が早朝散歩に出る前にコーヒーフィルターに入れ、帰宅・朝風呂に入った一時間半後ぐらいが私の好みの硬さになる。
もしかしたら、絞った液体とともに栄養分も逃げてしまっているかもしれないが、旨いに越したことはない。さらに、濾すことにより全体の量は減ることもあり、今までより購入する回数は少し多くなったような気もする。なんてことない、結局、高価なヨーグルトを食べていることになるのだろうか。まあ、あまり深くは考えず、それでも毎朝せっせせっせと楽しみながら食べているのであります。
「石ころ節」
ケチっぽい爺の話です。
鰹節を削り、冷奴にかけたり出汁をとったりと、鰹節には日頃とてもお世話になっている。自作の鰹節削りの箱には、引き出しの中に削りかけの鰹節が、いつも鎮座している。
そんな鰹節も削っているうちにどんどん小さくなり、これ以上削ると指まで削ってしまいそうになるまで使う。ケチな爺は、この小さな削りカスをもったいなくて捨てられない。気がついたらいくつもの小さな塊が溜まっていた。(写真)
なんとか、この石ころのようなヤツを利用したいものだ。ずっと気になっていた。
ある日、名案を思いついた。果たして、この石ころから出汁がとれるかの実験だ。
灯油ストーブの上に鍋を置き水を満たして「石ころ節」を沈めておいた。一時間以上経って、様子を見る。かすかに出汁らしい香りはするものの、頑固な「石ころ節」は、簡単にはメゲない。これでは出汁を取る前に湯が蒸発して無くなってしまう。
半分あきらめながら、「石ころ節」を鍋からすくい取ってみると、表面が僅かに弾力を帯びている。硬化ゴムぐらいの弾力だ。そこで、これを削ってみようと思ったものの、わずかとは言え水分を含んだまま鰹節削りを使うのには抵抗がある。そこで、玉ねぎをスライスする愛用のスライサーで削ってみた。それほど力を入れなくてもスライスできる。「荒節」のような鰹節が削れる。これなら出汁もとれるだろう、と再び湯の中へ。
しばらくすると、いかにも旨そうな香りが部屋の中に漂って来た。小皿にとって口にふくむ。「旨いぞ!」。
その晩は、この出汁に少し酒と醤油、みりんを足してアサリの炊き込みご飯とワカメの味噌汁を作った。簡素にして大満足の夕餉となった。
翌日は、まず昆布出汁をとり、それに「石ころ節」の出番でさらにバージョンアップ。
このところ鍋もの、茶碗蒸し、煮野菜、味噌汁と爺らしき献立が続いている。
出汁は日本の心の味だ。
鰻の老舗「つるや」
旨い寿司、天麩羅、そして鰻は自宅では望むべくもない。スーパーでも売っているが、なんと言っても専門店にかぎる。
そんな鎌倉の老舗、鰻の「つるや」は以前から気になっていた。
一度、予約せずに行ってみたが、満席であきらめたこともあった。そして今回やっと実現の運びとなった。
「つるや」は1929(昭和4)年創業の老舗うなぎ専門店。その昔、近くに居を構えた作家の川端康成や女優の田中絹代が足繁く通った店として知られている。現在は三代目とのこと。
1Fは四人がけのテーブル席が二つだけ、二階が座敷になっているらしい。
テーブルに付き、まずビールとツマミをお願いする。多くの老舗と同様、生ビールは置いてない。瓶ビールだけだ。メニューにあるつまみは「きもつく」と「骨煎餅」だけだ。たずねると、「きもつく」とは肝の佃煮とのこと。さっそく注文。
鰻重は三種類のうち中ぐらいをお願いする。
メニューもあっさりしているが、店内にも余計なものは何一つない。何代も続いている老舗にありがちな、店の由来を説明した文や、初代や昔の店の様子を写した写真なども、なにもない。しかし店の造りはとても素敵な和風建築だ。これ以上の説明はいらないと思った。
ビール瓶がカラになるころを見計らうように赤い鎌倉彫のお重に入った鰻が登場。彫り模様はやはり「鶴」。
お重の蓋を開ける。いかにも旨そうだ。
炭火で焼き上げた鰻はふんわりと柔らかく、甘さを控えたタレと一緒に溶けるように口の中に消えていく。
浜松や伊豆で、評判の鰻の名店を訪れたことがあるが、これほど柔らかい鰻に出会ったことはない。
今回は、四名で予約したものの、一人が体調を崩し欠席。当日のキャンセルは出来ないとのことなので、持ち帰りにしていただき、孫の胃袋に消えた。
お店のスタッフの無駄のない対応と優しそうな微笑みも嬉しい。勘定は現金のみ。これも老舗ならでは。
鎌倉の文化人が愛した珠玉の味、また折を見て行くとしよう。
■お店情報
「つるや」
鎌倉市由比ガ浜-3-27 電話0467-22-0727
営業時間 11:30~19:00 火曜定休
私の正月 今昔
私の育った鵠沼海岸の家は、元日の朝は父の座を中心に兄と私、祖母、母親と家族全員で祝ったものだ。小さな私に屠蘇は不味かった。薬臭かった。
正月二日になると朝からひっきりなしに父に客人が来た。二階の和室二間を開け広げ、大人達はみな楽しそうに酒を酌み交わし談話していた。小学生の私は玄関で客人の履物をきれいに並べる係だった。一方、台所では祖母、母親と女中二人が一日中忙しそうに働いていた。私は、腹が減ると台所に忍び込み、バケツに入っている大量の数の子をつまみ喰いしていたものだ。
二階の宴もたけなわになると、父に呼ばれた。兄と二人で廊下に立ち並び、バイオリンの演奏をさせられた。きっと、父の自慢だったのだろう。ビバルディのAモールやドッペルのコンチェルトなど、演奏が終わると大喝采を受けた。多くの客人からお年玉をもらうのが嬉しかった。
時代は移り、この十年以上、毎年のことだが正月元旦は重箱に盛り付けたオセチを一人で喰う。重箱と言ったって、上の写真にあるように、数年前に自作した小さな一人用の重箱だ。その中に、好きな数の子、昆布巻き、かまぼこ、ナマスなどを並べるだけで用意は万端だ。黒豆やきんとんなど甘いものは食わない。酒に合う塩っぽいものばかりだ。
「ああ、高血圧に悪いな〜」と、思いながらもチビチビと今年の正月も明けた。
毎年のことだが、二階に住んでいる娘家族はなかなか起きてこない。大晦日の夜にテレビなど遅くまで見ているのだろう。
私一人の元旦は、もう慣れてしまった。
いつからか、娘家族とは元日の夜に一緒に食事をするのが恒例となった。
私は、毎年暮れのうちに全員で食べられる大量のカニを取り寄せて用意する。娘は、三十日に一日かけて業務用の重箱に正月料理の盛り付けするアルバイトをやっている。買えば数万円の正月用重箱セットだ。この豪華なセットを手伝ったスタッフ全員がいただけるとのこと。娘が持ち帰ったこの重箱と、私の用意したカニで豪勢な食事となる。さらに、今年は5リットル入りの生ビールも用意したが、ガブガブ飲むのは私ぐらいである。飲み残した酒は後日兄の家で飲むことにした。
時代も移り、正月も変わった。今年私は傘寿を迎える。あと何回、正月が迎えられるのか、多少気にもなるものの、旨いものは惜しまず喰えるうちに味わうのだ。さあ、ことしも飲み、そして喰うのだ。
酒の話
学生の頃から大酒飲みだった。酒なら、日本酒、ワイン、ウヰスキー、焼酎と何でも飲んだ。酔うことができれば何でも良かった。
酒の旨味がわかってきたのは社会人になってからだ。
私の勤務先は赤坂だったこともあり、東京駅をよく利用していた。東京駅の構内には数多くの飲食店がある。ある日。ふらっと入った小さな居酒屋風の店で、はじめて「十四代」という日本酒を飲んだ。今は有名になったこの酒も、当時(もう50年も前)は、それほど知られていなかったと思う。口に含んだとたん、そのふくよかな味に感動したものだ。
その後、同じ店に何度か通った。銘柄は同じ「十四代」でも酒米によって味が違う、値段も違うことを知った。
日本酒に興味を持って、各地の地酒を飲むようになった。
鎌倉の小町通りで、ふと通りかかった焼き鳥屋の入口に、色々な日本酒の銘柄を書いた看板がぶら下がっていた。「十四代」もあったので、さっそく入ってみた。そこの兄ちゃんが「十四代がお好きなら、この酒もおすすめですよ」と言われて飲んだ酒が「而今(じこん)」という酒だ。ゆっくりじっくり呑んだ。そのまろやかな旨味に感動した。以来、すっかり「而今」にはまっている。
(日本各地の銘酒がそろっている酒好きの焼き鳥屋だったが、残念ながら数年前に閉店してしまった)
「而今」、この言葉が良い。これは禅の言葉で「過去や未来にとらわれず、ただ今この瞬間を精一杯生きる」という意味とのこと。
三重県の木屋正酒造が生産しているが、生産量が少ないせいか、この酒が置いてある店は少ない。家飲み酒としては高価すぎるので、外で飲むことにしている。
日本酒にも色々あるが、清酒、吟醸酒、大吟醸などには醸造アルコールが入っている。もしや、これが頭痛の原因かもしれない、という素人判断で、私は米だけで作った純米酒しか買わない。
鎌倉御成通りにある古い酒屋「高崎屋本店」で、会社の帰りによく酒を買った。そして、ここの親父に色々な酒を教わった。この酒屋、いまでは珍しい「角打ち(かくうち)」がある。通りに面した表側は普通の酒屋だが、横に入ると立ち飲みができる。せいぜい三人ぐらいしか入れないスペースだ。この「角打ち」、昔は多かったが最近はほとんど見ることはなくなった。
他にも、福島県の「飛露喜(ひろき)」、山口県の「五橋(ごきょう)」、長野県の「亀の海」などもおすすめだ。
ここ湘南は茅ヶ崎の熊澤酒造が作る「天青(てんせい)」も絶品だ。この蔵元が経営するレストラン「モキチ」もとても旨い。
ああ、酒の話をしているときりがないので、このへんで筆を置く。
さあ、今夜のひとり酒は家飲み値段の「亀の海」、アテは鰤(ぶり)刺しだ。早く夜にならないか待ち遠しい。
ファミリーディナー
私の家は二世帯住宅の二階建てだ。上に娘家族、下に私が住んでいる。同じ家にいるものの共通部分は玄関のみ。私は早朝に起き寝床につくのは9時すぎ、娘婿や孫たちは、いわゆる深夜族である。ということは、普段顔を合わせることはほとんどない。気がつくと一日中だれとも口をきかないことも多い。
もうすこし、家族との意思の疎通がほしいと、二年ほどまえから月に一回「ファミリーディナー」と称し、全員で外食をすることにした。
中華、イタリー料理、居酒屋、天麩羅屋、寿司屋など、原則的には毎月違った店にゆく。はじめて行く店もあれば、私のなじみの店もある。ほとんど同じ店には行かないが、孫が好きなのでハンバーグが旨い店には三回も行っている。近くのファミレスに行ったときなどは大学生の孫が1ポンド(約450グラム)ステーキをペロッと喰ったのにはびっくりした。私は半ポンドをようやっと食べたものだ。
娘家族と私で五人なのでいつも予約をしてから行く。
アメリカの娘家族が来日したときなどは、全員で八人、さらに海外から義兄や義妹が来日したときなどは全員で大晩餐会となる。
ちなみに、先月は娘のリクエストでジンギスカンを食べた。(写真、娘婿は体調不良で欠席)。
生活習慣の違いで、普段は殆ど会話もないファミリーだが、ファミリーディナーでは学校のこと、趣味の話題などが話される。私の昔話しも聞いてもらうこともある。そんな会話がきっかけで2年前には大学生の孫とカンボジアにアンコールワットを訪ねた。来年春に上の孫は大学を、下の孫は高校を卒業することもあり、3月には孫二人と娘と四人でベトナムに行くことになった。
やっぱり食事は一人より、ワイワイガヤガヤと大勢で食べたほうが良い。酔もまわる。体力、財力もいつまで続けられるか分からないが、毎月巡ってくるファミリーディナーは数少ない楽しい晩餐である。こんなファミリーにおすすめのお店があればご一報を。
また、旨い店がなくなった。
以前このページで、好きだった鎌倉の焼き鳥屋が閉店したことは書いた。理由はテナントとして入っていたビルの建て直しだ。再建後、法外な料金を提示されたために、やむなく閉店せざるを得なくなったとのことだ。その後、徘徊するも、気に入った焼き鳥屋は未だ見つからない。
そして、また好きな店が閉店した。藤沢の天麩羅屋「藤よし」だ。ご主人が病気で倒れ、やむなく閉店となったとのこと。この店の天麩羅は実に美味しかった。カウンターで揚げたての天麩羅を喰う。サクッと歯切れの良い揚げ方で、食べたあとも口中には油がいっさい残らない。
湘南にはこの店以外にも、鎌倉や辻堂にそれなりに有名な天ぷら屋はあるが、ここ「藤よし」がネタの新鮮さ、軽い揚げ方など、何と言っても一番だった。
ご主人は、いつもキチッとした身なりにネクタイをしめて、朗らかな人だった。とても勉強家で、話題も豊富、食べ物のことは何でもよく知っていた。ブラジルの「ポンデケージョ」などもメニューに並んでいた。
とてもファンの多い店で、予約でいつも満席だった。繁忙時に気がつくとご主人は両手で箸を操っていた。
ご主人が倒れた、ということは人づてに聴いていたが、閉店になったことはネットで知った。まことに残念だ。
旨い天麩羅、寿司、うなぎなどは、自宅では喰えない。職人技だ。
また、しばらくは旨い天ぷら求めて徘徊が続くことになりそうだ。
ご主人は、現在入院中らしい。威勢の良い女将が、インスタグラムで胸の内を語っている。長い文章だが、抜粋してご紹介する。
(尚全文は後記のインスタグラムURLに掲載されています。)
以下本文
******************
天麩羅 割烹 藤よしは休業中でしたが、このまま閉店する運びとなりました。突然のご報告になり、心苦しい気持ちでいっぱいです・・・
「老兵はただ去りゆくのみ」
この心境であります。
(中略)
藤よしは、仕事という戦いに挑む力は尽きてしまいました。
今が、引き際かなと・・・
主人は45年間、昼も夜も、1人で天麩羅を揚げ続け、本当に精一杯頑張ってまいりました。
何度も家族で話し合い、この様な決断に至りました。
45年間、ありがとうございました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
2025年11月9日 女将 藤村光江
柿・いろいろ
■柿が好きだ。スーパーなどでうまそうな柿を買ってくると、日の差し込む窓辺に晒しておく。買ってきた時は薄橙色の実が、数日たつと濃い橙色になる。完熟した頃、触ってみると少しプヨプヨ感がある。これを、写真のように横半分に切ってスプーンで喰うのが私の大好きな食べ方だ。もちろんコリコリした新しい柿も好きだが、スプーンで掬って食べる完熟の芳醇な味が良い。
ヨーグルトと一緒に食べても旨い。
■この季節、田舎に旅をすると軒先に沢山の干し柿を吊るしてあるのを見ることが多い。あんなに沢山吊るしてあるのに何故野鳥がつまみ食いしないのかが不思議だ。もともとは渋柿だからなのだろうか。葉が落ちた柿の木に、淋しげに実だけが残っている風景も、また素敵だ
■最近スーパーで売っている柿は種無しが多い。種がないのに、どうやって増やすのだろう。種なし葡萄、種なしスイカ、不思議だ。ネットで調べるとややこしい説明があるが、私には難しくてわからない。
■柿ではないがツマミで食べる柿の種も好きだ。ビールにとても合う。もともとは小さな小判型の煎餅を焼くときに使う金型をうっかり踏んでしまい、そのまま焼いたら、あの格好になったという。「こんな柿の種みたいなものは売りものにならない」とケチをつけられたのがきっかけで「柿の種」と命名したそうな。
■最後は柿を歌った名句二首
「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」 正岡子規
「柿もぎの金玉寒し秋の風」 良寛
パパイヤの思い出
初めてパパイヤを知ったのは1963年、当時アメリカへの直行便はなかったのでハワイ経由で行くことに。それならと、数日をハワイで過ごした。一人小さなモテルにチェックイン、隣のレストランで食べたのがパパイヤ初体験だ。甘すぎず、かすかに品のいい苦みもある。ほのかな香りも素敵だ。なんと旨い果物だろうと思った。それ以来、私の大好物になった。
ついでだが、その時にグアバジュースもはじめて飲んだ。ほかにもハワイはいろいろな食物の思い出が多い。新婚旅行でハワイに行ったとき、ホテルのメシに飽きて、ビーチに出ている店で、初めてタコスを食べた。アメリカ風のハードシェルのタコスだったが、これも美味かった。某レストランの隣の席でデブなアメリカ人がホットケーキのメープルシロップをベーコンにもぶっかけて食べていたのを見て、アメリカ人は味盲ではないかと思ったものだ。
パパイヤに話を戻す。その後、沖縄に旅をしたときに、まだ熟していないパパイヤが漬物で出てきたのにもびっくりした。

そして2019年、旅仲間とオーストラリアに行ったとき、マーケットで巨大なパパイヤを見つけ、ホテルに持って帰った。私以外はあまりパパイヤに興味がないらしく、ほぼ一人で3日間、毎朝たべてやっと食べきった。
パパイヤは、もちろん日本でも身近なスーパーで手に入るものの、ほかのフルーツと比べ高価だし、旨味が薄い。美味しいパパイヤを求め高級スーパーに行けば、びっくりするほど高い値段がついているので怖気付いてしまう。
それならと、苗を買ってきて鉢植えで育てたこともある。最初はスクスクと育ったが、1メートルぐらいの高さまで育ったところで、気候のせいか枯れてしまった。
「最後の晩餐」にあなたは何を食べたいですか、ということが時々話題になる。シャトーブリアンステーキも、大トロの刺し身もいいが、私は程よく熟した美味しいパパイヤを食べたいと、いつも思っているので、そのときはよろしくお願いします。
(251026)
味覚の秋
「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」
秋刀魚の塩焼きは、秋の味覚の代表だ。今年の秋刀魚は豊漁、且つデカイ。
炭を起こし、網の上で焼く。ジュージューと油が滴り落ち、うまそうな臭いとともに煙がもうもうと立ち上る。ほどよい焦げ目がついて焼き上がったら、カボスやスダチを搾り、醤油をかけ、大根おろしを添えて喰う。あの茶色のはらわたの苦みが、酒の旨味を誘い出す。ああ、書いているだけで唾液が分泌する。
某日、ある寿司屋で秋刀魚の刺し身を喰った。絶品だった。まねをして自分で捌(さば)こうとスーパーへ行ったものの、殆どが「加熱用」と書かれているパッケージに入っている。仕方なく塩焼きにしたが、あきらめきれず、後日ほかのスーパーに行った。ここは比較的鮮魚がそろっている。あった、あった。パッケージに包まれていない秋刀魚を売っている。くちばしも黄色い。新鮮な証拠だ。念の為、店員に刺し身にしたい旨を尋ねてみると。「おすすめできません」とのこと。ネットで「秋刀魚の刺身」と検索したら、やはり「一度も冷凍されていない新鮮な物以外はやめたほうが良い」とのこと。しかたなく再び塩焼きにした。本当に新鮮な秋刀魚は豊洲まで行かねば手に入らないのか。残念だ。
秋刀魚の他にも鰍(いなだ)など漢字に「秋」がつく魚の季節だ。
秋鮭、秋鯖もうまい。
魚の他にも、秋は美味しいものが多い。栗、芋、かぼちゃ、柿、葡萄、松茸などもいいが、何と言っても旨いのは新米だ。
我が家には電気炊飯器がないので土鍋で炊く。ガスで十分、火を消して蒸らし十分、二重蓋を開けると、焚き上げた飯粒のうまそうな香りが鼻腔をくすぐる。しゃもじで少し全体を切ってやる。鍋の底には旨そうな茶色のお焦げがへばりついている。
秋は「ひやおろし」の酒が出回る季節でもある。「ひやおろし」は、春先に絞ったお酒を夏の間熟成させ、秋に出荷する日本酒で、熟成の旨味と丸みのあるまろやかな味わいがたまらない。
秋刀魚の塩焼きに「ひやおろし」をチビチビ、シメは新米のおこげに番茶をぶっかけてすする。ああ、すばらしきニッポンの秋を満喫だ。

懐かしのレストランに
新たな風
さかのぼること約30年前の夏、ここ鎌倉山に引っ越したばかりの頃だ。ギラギラと照りつける太陽に、「生ビール」と書かれたのぼり旗に吸い寄せられるように入った店が「トレンタ」という店だった。我が家からもそれほど遠くない。外観も前衛的で、店の中には巨大なジャクジーがあり、トイレのシンクと蛇口は、とても洒落たものだった。そう、ここは水道屋のオヤジが趣味でつくったレストランだった。その後、会社の帰りに何度も立ち寄った。家族や友人たちとも行った。我が家を新築するときにはオヤジの勧めてくれたジャクジーとシンクを導入した。
ここに働いていたシェフがなかなかの兵(つわもの)で、何でも美味しく料理してくれる。初めてフジツボを喰ったのもこの店だ。頼みもしないのに、うさぎや、カエルなども出してくれた。マンボーの腸も美味かった。このように書くとゲテモノと思われそうだが、決してそんなことはない。なんでもとても美味しく、上品なイタリー料理風の味付けだった。
20年ほど前に、この水道屋のオヤジが酒の飲み過ぎで亡くなり、残念ながら閉店となってしまった。噂に、ここのシェフが横須賀で店を構えた聞き、何度か食べにいったことがある。

その後、旧「トレンタ」には何軒かのレストランが居抜きで店を出したが、みな長続きはしなかった。
しかし、ここ5年ほど前に開業した「エレッジ」という店は、ずいぶん長続きしている。娘の仕事仲間の噂では、けっこう美味しい店だとのこと。さっそく娘とランチに出かけた。
店内は、昔の雰囲気を残しながらも、きれいにリフォームされているが、やはり巨大なジャクジーは姿を消していた。
生ビール、前菜、シーザーサラダ、芝海老のピザ、きのこのパスタを注文、どれも美味しく頂いた。
これからは、思い出がたくさん詰まったこの場所に、時々足をはこぶことになりそうだ。カウンターもあるので、一人でも気軽に来られるのが、呑兵衛爺としては嬉しい限りだ。
■店情報
eredge★Cafe
神奈川県鎌倉市常盤959-8
0467-55-5270
私的ビールの独断と偏見
残暑厳しい折、みなさんは如何おすごしですか。残暑見舞いのような書き出しになってしまったが、猛暑も酷暑も残暑も、乗り切るには一杯の生ビールだ。家庭用の大きな5リッター缶もあるが、爺一人暮らしでは、いくら頑張っても手(いや口)に余る。缶生(かんなま)も売っているが、所詮「缶」は「缶」にすぎない。タップからジョッキに注ぎ込まれる黄金色のビール、そしてきめ細かな泡、これが私の「生ビール」だ。ああ、想像しただけで生唾(つば)が出てくる。
生ビールを飲みたければ、やっぱり外に行くしかない。焼き鳥屋や居酒屋もいいだろう。蕎麦屋で飲むのも良い。(蕎麦屋は「生」が置いてない店も多いので事前の情報収集が必要だ。)
生ビールの本当の美味しさは最初の一杯目だけだ。それも中ジョッキに限る。大ジョッキでは飲み切る前に泡がなくなってしまう。小洒落た店で出てくるような小さなコップは嫌だ。やっぱり生ビールは最初の一口をグビッとやって、喉に落とし込んだらプハ〜ッと行かなければならない。
ここ鎌倉山にある数件の飲食店で生ビールを飲むことができる店は1軒だけあるが、私の好みには合わない店だ。しかたなく山を降りる。一時間に一本しかないバスに揺られて行く。店に入ると、メニューも見る前に「とりあえずナマチュー一杯」がいつものことだ。
この季節、野球界では優勝チームがビールをかけあうシーンが報道される。一回でその数は3千本にもなるという。なんというもったいないことをしているのだ。普段はお金を払って大事に味わうビールがシャワーのように、それこそ泡と消える。毎年、このニュースを見る度に腹がたつ。しかも、そのビールは「宣伝になる」ということでビール会社が提供しているという。呆れた話だ。ビール掛けをみて、その会社のビールを買おうと思うやつが、果たしているのだろうか。食品ロスやSDGsが取り沙汰されているなか、提供しているビール会社は、自分が勤めている会社の製品がこのように扱われることに疑問を持たないのだろうか。(ビール掛けに使われるビールは不良品のため「もったいない」には当たらないと言う説もあるが、私はそれは言い逃れにすぎないと思っている)
海外ではシャンパンをかけ合うという。日本独特のビール掛けはこれを真似したものらしい。
いずれにしても、私は飲み物、食べ物がこのように扱われるのに耐えられない。
TGIF
たまには外食をしたい。当然ながら旨い店がいい。ネットではいろいろな店の情報が乱れ飛んでいる。お店の場所やメニュー、料理の写真などとてもわかり易く参考になるものの、いざ行ってみると、その味はイマイチの店が多い。食い物の情報は、信用できる人からの情報がいちばんだ。
私の知り合いの食いしん坊夫妻(夫はアメリカ人、奥様は日本人)は、どうやら毎週金曜には外食をしているようだ。彼らのお店情報は間違えない。彼らと一緒に外食をすることも多々あるが、大概は金曜日の夜だ。場所や時間の打ち合わせメールやLineの最後は、決まって「TGIF」となっている。
「Thank God It's Friday」、直訳すれば神に感謝だが、その気持は「やれやれやっと金曜日だ!」とでも訳したほうが良いかもしれない。日本語のイメージでは「花金」と言ったところだろう。
仕事が終わった金曜日の夜は、なんとなく開放感にあふれ、旨いものを食うなり、飲みに行きたい気分になるというものだ。
そんな時に、必要なのが各種の情報だ。その点、前述の夫婦以外にも食いしん坊仲間はいるのは嬉しい。信用できる情報で、気に入った店が見つかると、足繁く通ったりする。しかし、そのような店が、なにかの都合で閉店してしまうと困るのだ。
私が好んで行った鎌倉の焼き鳥屋が閉店して一年、旨い焼き鳥を求めて湘南界隈のいろいろな店に行った。炭焼が基本条件だ。ひらがなの「やきとり」はホルモンなどがあるので避ける。喰いたいのは漢字の「やき鳥」なのだ。多くの安い焼き鳥屋は塩がきつすぎる。味がいい店はあるのだが、妙に小洒落ている上に、焼き鳥屋の常識を超える値段の高さが気に入らない。等など、いまのところ満足する店は見つかっていない。
話を戻してTGIF、若い頃は六本木や赤坂あたりのディスコによく行った。中には別荘へ行ったり、近場の旅行に行く人もいるだろう。OLの中には金曜の夜の便で海外に行き、月曜早朝に帰国、空港からそのまま出社するという人もいるという。また、自分へのご褒美として一流ホテルで過ごす人もいるという。
さあ、食いしん坊爺としては、今週の金曜は、誰と何を食いにいこうか。
生牡蠣も良い、たまにはボリュームたっぷりのトンカツも、あの旨い天ぷら屋もご無沙汰してる、旨い刺身も喰いたいーーー楽しい夢は、はてしなく続くのである。

爺の食生活
時々話題にはなるが、あなたは死を前にして、「最後の晩餐」に食べたいものは何ですか? 私はパパイヤだ。この訳についてはまたの機会にしておく。
私は食いしん坊だが、寄る年波はさからえない。運動もしているし、体は健康なものの食べられる量が徐々に減ってきている。私の昼飯は自宅で麺類が多いが、1人分70グラムがちょうど良い。しかし大概の麺類の一人分は100グラムだ。中華麺などは1人分で150グラムもあるものもある。仕方なく、規制のパッケージを小分けして、二人前という袋詰めを三食に分けて食べたりしている。
夏は素麺が旨い。素麺は一束が50グラムなので、これもバラして3束を2食にしている。六十才前後までは平気で百グラム食べていたのだがーー。
しかし、たまには外で旨いものを喰いたい、という欲望は増すばかりだ。旨いものなら、信用できる有名なレストランに行けば良いとは思うが、どこに行っても一人分の量が多すぎる。かと言って、ケチな爺は喰えるものを残すのは抵抗があり、無理をしてでも食べてしまう。結果、帰宅してすぐに胃薬のご厄介になる始末だ。
ゆえに、外食は自分で量が決められる寿司屋と蕎麦屋が良い。ところが旨い寿司屋は値が高すぎて年金爺は、そう度々行くわけには行かない。
自宅から、それほど遠くない西鎌倉に新しいステーキ屋「Sa.(エスエイドット)」が出来た。なかなか評判もいいので、さっそく仲間と行ってみた。メニューには各種のステーキやハンバーグもある。(残念なことに私の好物のヒレステーキはない)
一番量の少ないのが200グラムだ。仕方なく、その最小のステーキを頼む。結果、やっぱり少し残してしまった。店に申し訳ないので同行の大食いに手伝ってもらった。値段も味もリーズナブルな店だ。きどっていない町のステーキ屋だ。家族連れにもいいだろう。
食べられる量が少なくなったので、自炊が多くなる。旨い刺身や肉をスーパーなどに買いに行くが、刺し身は向こうが見えるような薄切りが多い。仕方なく鮪、鯛、鰤(ぶり)などは柵を買って帰り、自分で厚切りの刺し身を作る。肉は、贔屓の肉屋で一切れだけ買う。
これだけ老人の人口が多いのだから、上等且つ素材の量の少ない一人分の素材を売る専門店などあって然るべきと思うのだが、いかがなものであろう。屋号は「最後の晩餐」だ。
■お店情報
STEAK HOUSE Sa.(ステーキハウスエスエードット)
鎌倉市津1040-50
湘南モノレール「西鎌倉」駅より88メートル
0467-31-0298
蕎麦屋「赤星」
蕎麦が好きだ。ここ鎌倉には、比較的旨い蕎麦屋が点在する。有名な「松原庵」や「峰本」、段葛には「こ寿々(こすず)」、小町通りの路地には「なかむら庵」、由比ヶ浜にはちょっとオシャレな「スローブ」などなど、それぞれに個性のある蕎麦屋が多い。しかし、インバウンドや観光客の増加で、昼時には列を作る店も出てきた。地元民としては嘆かわしい限りだ。
その点、私の家から歩いて15分の「赤星」という蕎麦屋は、客の殆どが地元の人達だ。近いし、とても旨い。ツマミも多彩だ。毎朝、外に面した一角で蕎麦を打っている。
11時半開店。ガラリ戸をあけるとテーブル席が並び、奥には小上がりもある。
生ビール、板わさ、せいろ一枚、これが私の昼の定番だ。生ビールについてくる小さな皿に入った蕎麦の実の味噌も粋で良い。定食や丼ものを食べているひとも多い。私は大概一人だが、家族連れも見かける。いわゆる町の蕎麦屋だ。

知り合いと一緒に行ったり、夜に行くと、落ち着いて酒を交わしながら楽しむ。
この店の「揚げ納豆」は絶品だ。その昔、音楽仲間のYさんを誘って行った時、ツマミにこの「揚げ納豆」をオーダー。何故か彼の箸がすすまない。私が「美味しいよ」と言うと、仕方なさそうに、箸でつまんだ。一瞬の間があり、「旨い」の一言。そして「実は、いままで納豆は大の苦手だった」とのこと。それ以来、彼は納豆のファンになってしまった。
ほかにも「鶏のおろし揚げ」「だし巻き卵」などもとても旨い。
最後は、もちろん蕎麦だ。せいろう一枚食べ終わる頃に蕎麦湯を持ってきてくれる。このタイミングがするどい。蕎麦屋の多くは「蕎麦湯くださ〜い」と言わないと持ってきてくれない所も多い。しかも小さな器では物足りない。ここ「赤星」の蕎麦湯はたっぷり二杯はこなせる量を出してくれる。
わが地元の数少ない旨い店だ。
<お店情報>
「そば処 赤星」
鎌倉市常盤115
湘南モノレール湘南深沢駅下車徒歩2分
0467-48-5778
https://www4.hp-ez.com/hp/sobadokoro-akahoshi/
とんかつ
私の食事は魚が多いが、なんだか妙に「肉を喰いたい」と思う時がある。ステーキならシャトーブリアンが間違いないが、馴染みの肉屋でも高価で、そう気軽に食べられるものではない。
ステーキハウスにも、メニューにシャトーブリアンが載っている店は少ない。あったとしてもべらぼーな値段だ。
ということで懐具合と相談し、「旨いトンカツ」を探すことに。
大船のルミネや、鎌倉駅西口のそばにも地元で好評のトンカツ屋があるが、欲深爺としては「もっと旨いトンカツ」があるはずと、ネットで探したり、食いしん坊数人の情報をもとに、鎌倉駅東口から3分ぐらいの「あら珠」に行ってみた。
(ネットで探した「旨そうな店」で成功したのは稀だ。やっぱり信用のできる食いしん坊情報が良い。)
結論から言うと「旨かった」。
扉を開けて中に入る。テーブル席もあるが、私は一人なので大きなカウンター席に座る。以外にも一人客が多い。
カウンター越しに目の前で料理している。まず豚肉をカット、小麦粉を全面にまぶしてから、よぶんな粉をはたき落とす。それを金串にさして卵液にドンブリ。そのまま、山盛りになっている粗めのパン粉の中にドサっと落とし、多少力を入れて包みこんで、油の中に静かに入れている。
しばしジョッキを傾けながら待っていると小ぶりの金網に乗った揚げたてのトンカツが運ばれてきた。粗めのパン粉はきれいになキツネ色に揚がっている。濃厚なソースを少しかけて一口かぶりつく。ウ〜ン、サクサクな衣にジューシーな肉が実に旨い。別の容器には、山盛りのキャベツの千切り。専用のドレッシングをかける。これも実に旨い。
私は生ビールと単品で頼んだが、他のお客様はほとんどがランチセットを食べていた。漬物や汁も旨そうだ。
久々の旨い肉に満足。
また仲間と来たいと思い聞いてみたら、予約はとらない、来店の順に食べていただく、とのことだった。
満足して、外に出る。またギンギラの太陽が照りつけていた。
<お店情報>
「鎌倉かつ亭 あら珠総本店」
鎌倉市小町1-5-24
0467-53-7131
https://aratama-katsutei-souhonten.com。
八角
調味料、スパイス、なんとも奥の深い世界だ。いつも一人で料理をするが基本的な知識がないので、各種のレシピに沿って調理することが多い。そのレシピを読む度にスパイスを買っていたら、とても多くのスパイスが溜まってしまった。一度しか使わないスパイスもある。改めて賞味期限をみると、とんでもない昔のものもあり、もったいないが廃棄することもある。
そんな各種のスパイスのなかで、クミンや八角が気に入っている。
スターアニスともいわれる八角、その形が愛らしいではないか。
先日、暑くて料理も面倒なので安価なレトルトの黒酢酢豚を買ってきた。期待はしなかったものの、思った通りなんとなく気が抜けた味だった。更に一食分あったので、しばらくして食べる前日に八角を入れて、一晩冷蔵庫に寝かせておいた。
翌日、 温めて食べてみる。満点とは言えないまでも、八角の独特な甘い香り、アジアンチックな風味が効いて少しは上等になった気がする。ワインもすすんだ。
そこで、呑兵衛のいたずら心に火がついた。八角と酒、なんとなくあいそうな気がする。さっそく実験的に少しの焼酎に八角を3個いれて、一週間おいてみた。最初は焼酎に浮いていた八角が、いつのまにか瓶の底に沈んでいた。
心ときめかせながら瓶の蓋をあけたとたん八角独特の香りが漂った。少し口に含むと、ちょっときつすぎる。炭酸で割ってみた。なんとなくオリエンタルな甘いカクテルのようだ。私の好みのカクテルではないが、女性向きかもしれない。
「スパイスと酒」といえば冬に飲むホットワインが思い浮かぶ。シナモン、クローブ、ブラックペッパーなどを入れて暖炉の横でチビチビやれば体も温まる。ほかにもビールとコリアンダー、黒ビールとシナモンなどいろいろな香りと風味を楽しむカクテルがある。最近はやりのクラフトビールも、製造過程でスパイスを使ったものがある。今回の八角焼酎も、もう少し工夫すればきっと旨いカクテルになると思う。今回の実験は、八角の量が多すぎたかもしれない。まあ60点の出来というところだろうか。まだ研究の余地ありそうだ。
鰻
浜松といえば「鰻」だ。数年前に兄と訪れた鰻屋「あつみ」の味が忘れられなく再訪した。百年以上続く五代の老舗だ。前回は、思いつきで行ったので、満席ゆえ、えらく長い時間待たされたが、今回は旅に出る前に電話で予約しておいた。
地元でも評判の店ゆえに、電話の予約も時間指定されている。その時間に電話が集中するらしく、娘が必死に電話をし、十回以上電話をしてやっとつながり、予約ができた。予約の際、ランチは二種類の時間のどちらかを選ぶことになる。ゆえに、予約で満席になったら、それ以上は受け付けられないらしい。
こう言うと、敷居が高そうに思えるが、行ってみれば店内は普通の鰻屋さん。店員もキビキビと動く姿が気持ちいい。
まずは瓶ビールで乾杯。(蕎麦屋でも鰻屋でも、名店にありがちだが生ビールがないのが残念だ。)つまみは、炭火で焼き立ての「きも焼き」。すこし焦げ目のキモにうまそうなタレがたっぷりかかっている。
ほんの少し山椒粉をかけて喰いつく。ほんのり甘いタレにピリッとした山椒粉が微妙にからみ、実に美味。
いよいよ鰻重が到着。こういう店に来ると、歳とともに大食いができなくなるのが残念だ。今回も一番少ない「うな重」を頼む。蓋をあける。ほんのり旨そうな香りが鼻をくすぐる。まずはそのまま一口ほおばる。ぶ厚い鰻がふっくらと焼きあがっている。二口目からは少し山椒粉をかけて食べた。鰻はもちろんだが「米」がふっくらと旨い。タレが、わずかに染みこんで、鰻と一緒にかぶりつく。満足なり。
勘定は現金のみ。(これも、歴史が古い名店にありがちなことだ。)
「ありがとうございましたー」、と大きく響く店員の声に送られて店を出る。
孫と娘たちと爺の旅、二泊三日、愛車を駆って全行程638キロ。うまいメシ、音楽、温泉三昧の楽しい旅でした。
<お店情報>
「うなぎ料理 あつみ」
静岡県浜松市中央区千歳町70
053-455-1460
http://unagi-atsumi.com/reservation.html
夏みかん
この地に引っ越してきた時は、すでに大木だった夏みかんの木。
あまりに育ちすぎて、お隣の家にまで越境してしまい、お隣の家にボトボトと大きな実がおちてしまう。なんとかならないかと、ノコギリと植木鋏を手に頑張ってみたものの、すでに事おそし。とても素人の手には負えないほど高くこんもり茂ってしまっている。このままはまずい、と久しぶりに植木屋に依頼し、大幅に剪定してもらった。辺りに日差しが広がり明るくなった。おとなりさんにも迷惑がかからないようになった。一安心。
この夏みかんの木、毎年多くの実をつける。その数、百個は下らないだろう。実の表面は、まるでニキビ面(ずら)、肌の艶もないが、一皮むけば中実は旨い。熟した頃には野鳥やリスが旨そうなところだけ、つまみ喰いしてホッていく。実がついたままにしておくとボトボトと落ちて腐ってしまう。
十年ほど前までは、ハシゴに乗り沢山とってママレードを山のように作ったものだが、歳をかさねると、手間のかかることが億劫になり、ずっとサボっていた。
植木やさんは、大きな袋いっぱいに実をいれて、肩に背負って持ち帰ったようだ。ママレードにでもするのだろうか。
わたしも久しぶりに、植木屋さんが狩り残した夏みかんをとり、「夏みかんパイ」を焼いてみた。お砂糖を沢山いれて煮込み、パイシートで包み、オーブンで焼いてみた。熱いうちにサクッと食べてみる。なんとも素朴な酸味と甘さが口中に広がった。娘に分けたら、贅沢にもバニアライスをのせて食べていた。
鍋に余ったジュースをゼリーにもしてみた。これも美味かった。
まだ、実は沢山残っているので、毎朝ヨーグルトといっしょに食べている。
ここ数年、この夏みかんの木にはご無沙汰していたが、これを機に今後はもっと仲良くしていかねばもったいない。これからも長い付き合いになりそうだ。
美味を求めて大失敗
今回は美味の話ではない。失敗談だ。
美味を求めて日々ウロウロと徘徊するが、ネットでいかにも旨そうな店も、その殆どはがっかりすることが多い。しかし、当たるも八卦当たらぬも八卦、そこに足を運び、いや舌を運ばねば真相はわからない。たまに「当たり」が出た時は嬉しいものだ。
最近、ネットで見る限り、とても美味しそうな飲茶(ヤムチャ)の店を見つけた。写真のように、湯気漂う蒸篭にいかにも美味な飲茶が並んでいる。さっそく仲間と行くことに。しかし、予約をして行ったにもかかわらず入口で予約名を告げると、挨拶もせずに、ただ上の方を指さしている。「2階に行け」と言うことらしい。もしや日本語が苦手なのか。
席につき、とりあえずはビールを、と思ったものの、まずはテーブルの上に置かれた二次元コードをスマホに撮り、画面に出てきたメニューから注文しないと、なにも頼めないらしい。
最近はテーブルに置いてあるタブレットで注文する店も増えてきた。このデジタル化が爺婆は苦手なのである。ましてや、この店のようにスマホの小さな画面ではメニューの絵もよくわからないし、間違えて操作しそうだ。
同行の三人は、なんとなく「お前が頼め」と言わんばかりの目つきである。仕方なく私がスマホを手にし、なれない手つきでオーダー。
何を間違えたのか、案の定ビールは一杯余分に来てしまった。とりあえず乾杯。さあいよいよ、メシだ。さっそくネットで見た旨そうな飲茶を注文。
またもや失敗。飲茶だけ頼んだのに、チャーハンも来てしまった。スマホの小さな画面をよくよく見れば、セットメニューだったのだ。
注文する度に時間がかかり、そこで話も途切れてしまう。そして絵面ほど美味くもない。途中であきらめ、他の店で飲み直した次第だ。
苦手なデジタル、人不足、いろいろ問題はあるけれど、美味いものを喰うには、やっぱり人間同士の関わり合いが欠かせない。
大きな声で「すみませ〜ん」と声をかけ、「この料理はどのくらいの量ですか」とか、「どういう料理なのですか」など対面で対応してくれるほうが爺婆はありがたいのです。
(250601)
生牡蠣求めて
生牡蠣が大好きだ。ここら辺りで生牡蠣を売っている魚屋は鎌倉と大船に一軒ずつあるので、よく買いに行く。また、先日はクマモト・オイスターを通販で取り寄せ、我が家に牡蠣好き4人集まって、あっという間に20個の牡蠣を食べた。
その昔はERが最後につく月(September, October, November, December)しか食べてはいけないと言われていた。日本では岩牡蠣と真牡蠣が中心だが、最近は輸入の牡蠣も多くなり、保存技術の進歩にともない、いろいろな牡蠣を一年中食べることができるようになった。
都内に行けばオイスター・バーも何軒かあり、四季を通じて多種の牡蠣がたべられるが、ここ鎌倉で安心して食べられる店は、私の知る限りではCOCOMOというレストランだけだ。牡蠣を看板メニューにしている。店のマークも牡蠣殻だ。
北海道の仙鳳趾(せんぽうし)というクリーミーな牡蠣をはじめて食べたのもこの店だった。もう20年以上も続いている店だ。テラスで目の前の海を眺めながらの食事もできる。海風にくすぐられながら絶品の牡蠣とワイン、最高だ。
メニューも豊富で味もいいものの、何よりも女性従業員達の対応とスマイルが素敵だ。そして空間がひろいのも魅力だ。
やはり海に面して昔からある有名なイタリー料理屋もとても旨いのだが、隣の席が接近して、テーブルが小さいのでなんとなくせわしない。
先日、このCOCOMOに兄と娘と行った。あっという間に2種類10個の生牡蠣を平らげた。そしてシラスのサラダ、ピザも美味しかった。牡蠣のピザもあるが、今回は生牡蠣を食べたのでオリーブとチーズのピザにした。ワインをのみながらゆっくりくつろいで帰ろうと思ったら、当日が「母の日」ということで、店内に飾ってあった真っ赤なカーネーションを二輪ずつ頂いた。
他のテーブルには赤ちゃんとおじいさんおばあさんも連れた家族連れ、隣の席は中学生ぐらいの男の子とお母さんだった。家族で行くことができるのも魅力のひとつだろう。
牡蠣中心というと誘う人も選ばなくてはならないが、他の料理もおいしいので家族連れでいかがでしょう。
■お店情報
ココモ(COCOMO)
鎌倉市長谷2-8-8 鎌倉コートハウス 2F
0467-33-4584
https://www.kamakura-cocomo.com
(250518)
酒飲みの季節感
ビールやワインはシーズンに関係なく、いつも飲んでいるものの、季節によって、急に飲みたくなるお酒がある。冬には、燗酒、ホット・ウイスキー、マンハッタン・カクテルがいい。暖かくなると、キリッと冷えたドライ・マティニ、ジャマイカ・ラム、テキーラ、たまにはマルガリータも良い。
ちょうど今の季節、暖かくなり始めるとビールをクラマトジュースで割るのが爽やかで良い。
写真の「クラマト」はクラム(ハマグリのエキス)とトマトジュースが主体で、更にいろいろなスパイスをミックスした独特の飲み物だ。ビール以外にもウォッカ、テキーラなどとミックスしても旨い。夏向きの簡単に作れるカクテルだ。
ビールとトマトジュースをミックスした「レッド・アイ」というカクテルは知られているが、このクラマト・カクテルを知っている人は以外に少ない。
また、ブラディ・マリー(トマトジュースとウオッカをベースにウスターソースや各種のスパイスを使ったカクテル)のトマトジュースの代わりに、このクラマトを使っても、なかなか美味しいカクテルになる。
話はそれるが、娘二人がアメリカで高校生活をしていた頃、レストランで私がブラディマリーを注文すると、彼女たちは「バージンマリー」というカクテルを頼んだ。このとき初めて知ったノンアルコールカクテルだ。ブラディマリーのウオッカを抜いたカクテルである。言ってみればトマトジュースにスパイスを入れただけだ。
話を戻す。私の友人でトマトの匂いがダメなやつがいるが、このクラマトは飲めると言う。クラムほか独特のスパイシングがトマトの匂いを中和してるのだろうか。
クラマトのホームページには、カクテル以外にもパスタやスープにも使えるらしい。トマトの大好きな私は、近い内に料理にも使ってみようと思っている
■クラマトのホームページ
https://www.suzusho.co.jp/maker/clamato/
(250504)
牛乳ラーメン
その店は、藤沢のビックカメラの裏、細い路地にあった。
屋号は「札幌ラーメン こぐま」。表から見る限り、いや中に入っても普通のラーメン屋だ。ただひとつ普通とちがうのは、ラーメンメニューの中に「牛乳ラーメン」があることだけだ。
ミルクにかぎらず、チーズ、ヨーグルトをはじめ乳製品が大好きな私にとって、はずすわけには行かない。
4月18日、はじめて行ってみた。外から店の中の様子は見えない。恐る恐るアルミサッシの引き戸をあけて中に入る。昼にはまだ早い11時半頃だというのにカウンターには多くの人がツルツルとラーメンを啜っている。店内の様子は、昭和から置き去りにされたような昔のラーメン屋だ。壁にはられたメニューに目をやる。味噌ラーメン、塩ラーメン、醤油ラーメンにならんで、あったぞ「牛乳ラーメン」。
丸見えの厨房には無口のおじさん二人が忙しそうにラーメンを作っている。調理台には、まさに出来立てのラーメン丼が4つならんでいた。そのうちの3つが白いスープだ。これが牛乳ラーメンらしい。やっぱりこの店は、他では食べられないこのラーメンが名物なのだろう。
さっそく私も牛乳ラーメンを頼む。調理を見ていると、どうやら塩ラーメンのスープらしき液体に、冷蔵庫から出した紙パック入りの牛乳をドボドボと足している。
そこに茹でたての麺(中太のストレート麺)を入れ、上に沢山の味付けもやしと、チャーシュー一切れ、ゆで卵のスライスを入れて出来上がり。
さっそくいただくことに。これと行った特徴のある味ではなく、まったく抵抗なく美味しく食べられる。
隣の席の若者はトッピングにコーン、サイドメニューの餃子もたべている。その焦げ付き方、うまそうだ。ウ〜ン、この組み合わせも良さそうだ。次回は真似しよう。
麺はあっというまに食い尽くし、さいごに牛乳入りのスープをすすりながら、思い出したことがある。
昔、有楽町のガード下に「ミルクワンタン」が食べられる小さな店があった。永六輔さんも、時々行っていたようだ。70年以上も続いた店だったが、店主(多分2代目)も老齢になり、そこにコロナの波が押し寄せ、閉店されたという。
今回の「牛乳ラーメン」、いまや昭和の貴重な忘れ物かもしれない。
■お店情報
「札幌ラーメン こぐま」
藤沢市藤沢110 遊行通り5-110
0466-23-5420
営業時間11:00-13:30 水曜定休

健康のバロメーター
毎夕、なんとかその時間までは我慢して、午後6時半になると、やにわにキッチンに入り、その日の気分でツマミを作りだす。よく作るのは、キャベツと塩昆布にごま油をひとたらしとか、袋詰めのピリ辛こんにゃくをチンして温めるだけとか、アンチョビとキャベツとガーリックをフライパンで炒めるなど、5分もかからない簡単なツマミだ。もっと手軽とは思うものの、所謂「かわきもの」は好みではない。
ツマミの用意ができると、冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出し、プシュッと栓を抜く。そして冷凍庫に常駐している大きなビアグラスにつぎこむ。
溢れそうなビヤグラスとツマミを盆に乗せて、テレビの前にある俗称「オヤジの椅子」にドカッと腰掛けて、テレビのスイッチを入れる。
これが、一年中をとおしての私の夕方のルティーンワークである。
そして、一口ビールを口に流し込んだ時に、「あれっ! いつもと違う、あの弾けるような旨い刺激はどこに?」と、感じたら風邪の初期とか体調が芳しくないときである。永年の経験でビールの最初の一口で自分の体調がわかるようになった。
やはり酒飲み仲間の一人が、同じようなことを言っていた。
若い頃はそんなことはなかったものの、老齢になると、人それぞれに自分なりの健康バロメーターがあるようだ。
私の、もう一つのバロメーターは朝の散歩だ。いつもは平気で歩いている上り坂が、いつになく辛い。妙に疲れを感じたりするときもある。この症状は前日飲みすぎたような日に多い。ともすれば、けっこう急な坂道も覚悟していたほど辛くないときもある。さらに散歩中、妙に空腹を覚えたりするときは健康なのだ。帰宅しての朝飯も沢山美味しく食べられる。
このように、我が身の健康状態の変化を少しでも早く感じれば、それなりに対処も早くできる。と言っても、市販の漢方薬を飲むぐらいだが。(新薬はできる限り飲まないようにしている)。 おかげさまで、ここ数年は医者知らずの生活を維持できている。
しかし、年齢とともに頭の回転の鈍さは増してゆくばかりだ。これだけは仕方ないか。今夜も、旨いビールが待っている。
ナタデココ
1993年8月、友人たちと初めてアラスカに旅した。メンバー男性4名、女性2名の計6名で、巨大なキャンピングカーをレンタルして数日間の共同生活だ。まずアンカレッジのスーパーで巨大なカート2杯分の食料や酒を買い込む。当時はまだマッキンレーと呼ばれていた北米最高峰の山の麓にあるキャンプサイトに向かった。
「マッキンレー」、後にオバマ大統領が原住民の言語の「デナリ」と名称を変更した山だ。途中、川辺にキャンピングカーを駐車してランチ、アラスカ最初のメニューだが、手軽にと持ってきた蕎麦を茹でた。
女性も二人同行したものの、なぜか滞在中の食事はほとんど私が料理した。
ある晩、夕食も終わり、チビチビと酒を飲んでいると、デザートと称して女性がアンカレッジのスーパーで購入した瓶詰めをあけてくれた。初めて見るデザートだ。何やら小さな乳白色の四角い寒天状のものがたくさん皿に盛ってある。みつまめの寒天のようにも見える。口に入れると、ほのかに甘くて美味かった。生まれて初めて食べた「ナタデココ」だ。寒天とも違う。一体これは何なのだろうと聞いてみたら、その女性は「ノッペちゃん、これはね、モンゴイカの砂糖漬けよ」と教えてくれた。そう言われれば、噛み心地もなんとなく烏賊っぽい。
帰国後にしばらくして、日本でこのナタデココが流行し始めた。そんなある日、当時の会社仲間と某レストランでナタデココを食べた。私はやめれば良いものを、訳知り顔で「モンゴイカもこうやって食べると旨いね!」と言ってしまった。
途端、皆し〜んとシラケ鳥がとんだ。そして爆笑がはじけた。その時に、始めて私が担がれていたのを知るに及んだわけである。
1年以上、私はナタデココはモンゴ烏賊が原料と思い込んでいた。なんとも恥ずかしい思いをしたものだ。
その後、私を担いだ女性に、そのことを話すと、また大笑いされた。
我ながら、人が良いというか、単純というか、疑うことをしない自分に呆れたものだ。
ナタデココはココナツが原料ですよ!
今回は恥を偲んでのアラスカの思い話である。
(250323)
貝喰会(貝喰う会)
クマモトオイスター
牡蠣が好きだ。娘の住むカリフォルニアに行く度に、毎日のように生牡蠣を喰う。日本では一般に岩牡蠣と真牡蠣しか知られていないが、今回ご報告するクマモトオイスターは牡蠣の最高峰だと思う。
もう20年以上前のことだ。家族でサンフランシスコに行ったときにフィッシャーマンズ・ワーフそばのレストランで、はじめてこの牡蠣を知った。以来とりこになっている。
アメリカ西海岸には、魚料理のレストランが点在する。このクマモトオイスターを置いてある店も多い。中には10種類以上の牡蠣を食べることができる店もある。いろいろな種類を試しているが、やはりクマモトオイスターが最高だ。
もともとは熊本原産らしいが、アメリカで爆発的にヒットした牡蠣だ。
最近日本でも食べられるようになった。しかし、通販のサイトで検索しても、クマモトオイスターはいつも売り切れか、シーズン外ということで、なかなか手に入らなかった。何度かトライをし、やっと今回実現したのだ。
ネットで20個のセットを発注。牡蠣の好きな近所仲間4人が我が家に集まった。
プロが使う牡蠣用ナイフで、固く閉じた貝を開けていくのだが、今までさんざんやってきた岩牡蠣や真牡蠣とは要領が違った。なんとも硬い殻だ。普通は殻の斜め上方にナイフを入れて開けるのだが、今回のような小さな、そして硬い殻は蝶番にナイフを差し込み、ナイフをひねる様にコジルとパキっと蝶番がはずれる。さらにナイフを深く入れて貝柱を切るほうが開けやすい。それにしても20個の小さな殻を開けるのは、けっこうな仕事だった。額から汗が滴り落ちた。
砕いた氷の上に次々と載せ、テーブルに運んだ。私以外、クマモトオイスターは初めてだ。フォークなど使わず、貝を手に持って直接口に持っていき、流し込む。行儀が悪いが、この喰い方が一番うまい。トロッとした舌触り、海の香り、ほのかな塩気が口いっぱいに広がる。
貝を開けるのには時間がかかったものの、20個の牡蠣が4人の胃袋に収まるのはあっという間だった。キリッと冷えたシャンパンと白ワインもあっという間にあいてしまった。
これを機に、4人でまたやりたいということで、「かきくうかい」と提案したら、異論がでた。ほかにも旨い貝があるので、名前は「貝喰会」(貝喰う会)となった。
そういえば、アメリカで食べるチェリーストーンという二枚貝や巨大な鮑も旨い。そして日本の牡蠣でも、クリーミーな「仙鳳趾(せんぽうし)」、食べたことが無いが「日生牡蠣」というのも旨いらしい。
食いしん坊の話は途切れることなく、全ての酒瓶があくまで続いた。
<情報>
今回ご紹介したクマモトオイスターは楽天に出店している「39ショップ」という店から購入ました。送料税込み20個セット¥8,000也。クール宅急便で届き、賞味期限は届いた翌日です。
バー
「バー」と言ってもいろいろな種類がある。スタンディングバー、
ダイニングバー、カラオケバー、ワインバー等など。最近は大画面でスポーツを感染しながら酒を飲むスポーツバーや、ゲームをしながらのダーツバー、ビリヤードバー、さらにはライブバンドが演奏しているライブバーやピアノバーなどいろいろだ。
私が好きなのは、昔ながらのオーセンティックバーだ。
オーセンティックとは「本物の」という意味で、格式の高さを表現するワードだ。オーセンティックバーには、バーカウンターがあり、一人でも入りやすいし、気のあった友達や恋人と静かに酒を楽しむのも良いだろう。酒やカクテルの種類も豊富だ。年代物のスコッチなど、特別なものを頼まない限り、ちょい飲みとツマミ一品ぐらいなら一人数千円だ。決して安くはないが、自宅では飲めないようなカクテルや、ボトルでは高くて買えないスコッチ・ウイスキーを楽しむのも良い。都内には有名な歴史の古いバーが多いが、鎌倉、藤沢、大船あたりは、居酒屋の隆盛で優れたバーはあまりない。
そんななか最近、ハマっているオーセンティックバーが藤沢にある。「ノイリー・プラット」というバーだ。ビルの2階にあるが、階段の脇に小さな看板(写真)があるのみなので、ちょっと分かりづらいのが、また良い。店内は分厚いカウンターに9席のハイチェア、人数が4人以上なら奥の方にある隠れ家的な個室が良いだろう。ルームチャージはかかるが、とてもリラックスしながら酒を楽しむことが出来る。
ここに初めて行ったときにドライ・マティーニを頼んだ。私が大好きなカクテルなので、どこのバーでもまずこのカクテルを頼む。それぞれに味が微妙に異なる。バーテンダーの技量がわかる。ここ「ノイリー・プラット」のマティニはキリッと切れ味もよく最高だった。
ついでだが、旅行のついでに立ち寄った沼津のバー「VICTRY」も素敵なバーだった。飲み友達の情報で行ったのだが都内にある一流のバーにひけをとらない。歴史も古いらしい。ここもドライマティには美味かった。再訪したいバーだ。
どこの町でも素敵なバーが見つかれば、思い出も膨らむ。翌日に差し障りが無い程度に、こんごも旨い酒を求めて放浪が続きそうである。
■お店情報
「ノイリー・プラット」
藤沢市鵠沼石上1-4-13 ロコテラス湘南 2F
0466-50-1716
「VICTRY」
静岡県沼津市八幡町125
055-962-0684
やきとり
「やきとり」が好きだ。社会人になったころ、鵠沼海岸に住んでいたので会社の帰りは、当時の国鉄藤沢駅で小田急江ノ島線に乗り換える。国鉄の改札をでると、美味そうな匂いが漂っている。
当時は藤沢駅前に何軒もの屋台が出ていた。おでん屋、焼き鳥や、串揚げ屋などの周りにはいつも人垣ができていた。
照明に使うアセチレンガスのシューッ、シューッという音がしていた。
この「やきとり」が美味かった。正確には焼き豚(トン)だった。
以外に知らない人が多いが、看板や赤ちょうちんに平仮名で「やきとり」と書いてあるのは、ほとんどが焼きトン、「やき鳥」と書いてあるのが鶏肉だ。
若い頃は「やきとり」が好きだったが、最近は「やき鳥」が多くなった。藤沢駅からファミリー通りを少し入った所に「一徳」という汚い焼き鳥やがある。(しばらく行っていないので、多分まだあると思うが)ここのオヤジが威張りくさっていて、カウンターの客はみな黙々と大人しく食べたり飲んだりしていた。しかし、ここの焼鳥は美味かった。
いろいろな焼き鳥屋にも行ったが、もっとも好きだったのは鎌倉小町通り沿いの2階にあった「鉄砲串」だった。「だった」と書いたのは、残念ながら先月末に残念ながら閉店してしまったからである。
先代の後を継ぎ、兄弟とお母さんと3人でやっていた。50年以上もの永い間地元の酒飲みに愛された店が閉店した理由は、建物の老朽化に伴う再開発だ。(噂によれば新しく出来る建物は中国資本だという。)開発後は法外なテナント料を提示され、仕方なく閉店せざるをえなくなったという。鎌倉の名店が無くなった。
ただ、店内に掲げていた「かわ」「レバー」「しいたけ」「つくね」などの小さな木札(写真)は弟さんが持ち帰り、どこかでいつの日か、また開店したいという。
私のわがままで「よく焼き薄塩」と頼んだ鶏皮のパリパリ感、まるでフォアグラのような半生の鶏レバー、つくねは山椒粉をかけると美味かった。あの味がはやく蘇えることを祈りつつ、今夜も我が家で炭を起こして鶏を焼くことに。
「ポンポン亭」のチャーリーチ
私が学生の頃、赤坂見附駅そばの路地裏にフォークソング仲間のたまり場だった「八千代」というレストランがあった。ここの鶏の包み焼きが私の定番だった。
その後TBSに就職。当時、赤坂には小さい旨い安いレストランがたくさんあった。「蜜蜂」という店ではダルマストーブに当たりながら大きなハンバーグとランチビールをよく飲んだ。茶そばの美味しい「かえで庵」は時代に取り残されたように白黒テレビがずっとついていた。暑い夏には、冷やしたぬき蕎麦が旨かった。エアコンはなく天井の扇風機が唸っていた。
チャーハンや揚げワンタンの美味しい「珍楽」もなつかしい。
今の赤坂一ツ木通り辺りは昔、「一ツ木新町」という名称だったとか。その名前を縮めた「一新」とい喫茶店には、多くのアナウンサーやタレントが入り浸っていた。オムライスが旨かった。「いこい」というレトロな喫茶店も落ち着いた雰囲気でなつかしい。
前置きが長くなったが、その頃TBSそばの路地を入ったところに「ポンポン亭」という小さなレストランがあった。その店の看板メニュー「チャーリーチ」が多くの人に好まれていた。永六輔さんや久米宏さん、大沢悠里さんもよく行っていた。
「チャーリーチ」、いったい何語なのか、どこの料理なのか、今となっては調べようもない。
会社の先輩Kさんが、この店のご主人から教わったというレシピで、私も時々自宅で作って食べる(上の写真)。とても簡単で美味しい。
トンカツ用の肉を2センチ角ぐらいに切る。それを同量の酒と醤油に浸して約一時間。コーンスターチをまぶして油で揚げる。大根おろしと、おろし生姜をミックスして、つけながら食べる。
これだけで、ビールにもあうしご飯のおかずにもなる。
「ポンポン亭」では御飯が隠れるほどの海苔弁とともに食べたものだ。
みんなみんな、陽炎のように消えてしまった。今や、赤坂はリトル・コリアと化してしまった感がある。
片瀬洲鼻通り「忠兵衛」
毎年、初詣は藤沢市の鵠沼稲荷神社に参拝する。(詳細は「鎌倉山暮らし」のページ)
毎回の楽しみは参拝の後、どこでメシを、いやどこで一献するかということである。鵠沼海岸から江の島を目指すか、藤沢を目指すか。今回は片瀬の洲鼻通りにある「忠兵衛」に行った。ここは過去数回来たことがある。
比較的安価で旨い魚を喰うことができる店だ。江ノ電の「江ノ島」駅から江の島を目指す真っ直ぐな洲鼻通りの左側にある。観光地という場所柄正月でも店を開けている。店の前の生け簀には伊勢海老や鮑などが入れてあり、注文すると店員がその生け簀に手を突っ込み取ってきて料理してくれる。景気の良かった頃は女房と伊勢海老の刺し身なども喰ったが、今回、一人参拝の年金爺なのでケチして伊勢海老は横目に見ることとし、刺し身の盛り合わせ(大)と生ビールをプハ〜ッ。歩き疲れた体に泡がしみわたる。生ビールは「中」を頼んだのだが、結構でかいジョッキに並々とついである。
刺し身は、これと言って特別な手間をかけているわけではない、当たり前の刺し身だが、これも量が多くとても旨い。満足なり。
胃が動き出す。まだ物足りない。そこで大好きな「ながらみ」と酒を一杯追加。「ながらみ」を爪楊枝でほじくりだしてはチビチビやる。海の香りが口いっぱいに広がる。
ふと壁をみると「生しらすは1月から3月まで禁漁のためお出しできません」と書いてある。地元なら、だれでも知っていることだが、観光客に向けてのお知らせだろう。そんなことは知らんふりして「しらす丼」を看板に出している多くの店から比べれば良心的だ。
刺し身大盛り、生ビール(中)、ながらみ、八海山1杯で3509円なり。正月最初のリーズナブルな一人飲みでした。
<お店情報>
「忠兵衛」
藤沢市片瀬海岸1-11-25 コングラッツ湘南 1F
0466-27-1455
https://precious-mg.com/cyubei/
名店紹介
中目黒「魚いち」
久しぶりに、おいしい店の紹介だ。それは東横線中目黒の駅から徒歩数分の「魚いち」だ。以前、諸用のついでに3回ほど、ふらっと立ち寄ったことがある。魚料理がとても美味かったので、その後も何度か行こうと思ったが、いつも満席で叶わなかった。
今回、約半年ぶりにダメモトで覗いてみた。カウンター席がたった一席あいていた。ラッキー、と席につくなり「お久しぶりです」と板さんが声をかけてくれる。呑兵衛は、このひと声が嬉しいのだ。客の顔を覚えるのも職人技の一つだと思う。
この店は、10人は座れるような長いカウンターの中に板さんは、たった一人。客からは見えない厨房には、もう一人いるようだ。あとはサービスの女性が一人忙しそうにしている。
さっそく、生ビールと大好物の生牡蠣を頼む。おおきな牡蠣はうまくないので、見せてもらうと小柄な美味そうな牡蠣だ。とりあえず二個をたいらげる。さあ、酒と刺身だ。とりあえず鯵と好物の茹でタコを頼む。茹でタコを食べると、だいたいその店の技がわかる。不味い店ではまるでガムのようにベチャベチャと食いきれない。「魚いち」はさすが、シャキッと噛み心地も良い。塩とわさびで美味しくいただいた。鯵の刺身もひと手間かけて、とても食べやすい。
酒も進みおかわりを頼む。さあ、最後は握りだ。ホタテ、赤貝のヒモ、カツオ、鮪赤身をいただいて、大満足。
寒風も気にならず、心たのしく帰路についた。
<お店情報>
「魚いち」
03-3794-1333
カリフォルニア、生牡蠣三昧
生牡蠣に、キリッと冷えた白ワインや生ビール、牡蠣好き呑兵衛にとってカリフォルニアは天国だ。
今回、2周間の滞在中に6店舗で生牡蠣を喰った(後記:店名と地名リスト)。
日本で生牡蠣と言えば、岩牡蠣と真牡蠣など大型の牡蠣が主流だが、カリフォルニアでは小型、中型が多い。なかでも一番人気はクマモト(Kumamoto)という牡蠣だ。もともとは日本原産の牡蠣だが、日本ではあまり知られていない。生牡蠣の好きな仲間が熊本に行った時、この「クマモト牡蠣」を食べたいと言ったが地元の人も知らなかったという。このクマモト牡蠣、カリフォルニアでは、多くの店の牡蠣メニューのトップを飾っている。
他にも、KUSSHI(屈指), ROYAL MIYAGI(ロイヤル宮城), KUMIAI(組合)など不思議なことに日本原産の牡蠣が幅を効かせている。
今回は他にもBeausoleil, Sunseekers, Gigaという種類の牡蠣も初めて食べた。あっさりとしたもの、クリーミーなものなど、それぞれ特色があり、舌をくすぐる。
当地ならではのトッピングがホースラディッシュ(西洋わさび)だ。私は何もかけずに喰うことが多いが、このトッピングは抵抗なく美味しくいただいた。
どこのレストランも気取らず、ラフなスタイルである。温暖なロスならではで、ジーパン、Tシャツの人も多い。外のテーブルで食べることもあった。
今回感じたのは、アメリカでも流通が良くなったということだ。
サンフランシスコから車で3時間ほど東に行った山岳地帯の小さな町Murphysのレストランにも生牡蠣が登場した。その昔、このあたりのスーパーでは新鮮な魚は手に入らなかった。お店に魚が並ぶのは週二回だけだったという。昔と比べれば、牡蠣好きには喜ばしいことである。
さて、日本に帰国。翌日にさっそく牡蠣料理。炭火を起こし、焼き網に昆布を乗せ、その上に牡蠣を乗せて焼き、醤油ひとタレ、燗酒とともに喉を潤す。これ抜群! あ〜やめられない。
<今回の旅で生牡蠣を食べたお店と地名リスト>
Santa Monica Sea Food (Santa Monica)
Murphys Grade (Murphys)
鮨喜扇(Arcadia)
Fishwives(Old Pasadena)
Dive Oyster Bar (Temple City)
Broad Street Oyster Company (Malibu)
酒飲みのいたずら
居酒屋などでよく注文するホッピー、私は黒ホッピーが好きだ。できれば生ホッピーが良いが、この「生」を飲むことのできる店は多くはない。
以前、このホッピービバレッジ社長の石渡美奈さんを友だちに紹介され、赤坂の某焼鳥屋で呑んだことがある。赤坂はホッピービバレッジ本社がある所で、行った店は彼女の行きつけの店だった。
そこで、彼女から教わったのがコーヒーリキュールのホッピー割だ。
コーヒーリキュールと言えばメキシコ産の「カルア」という酒が有名だ。ミルクを足して「カルアミルク」というカクテルは、ほんのり甘く女性にも好まれている。
つい先日、大量のコーヒー豆が手に入ったので、いたずら半分で、このコーヒーリキュール擬(まがい)を作ってみた。
使った豆はアラビカ種、焼酎はクセのない砂糖きびを原料とした「金宮焼酎」だ。原料は「カルア」とほぼ同じだ。
コーヒー豆を焼酎につけ、たった一週間、浮いていた豆は底に沈み、透明な焼酎は、みごとにコーヒー色に染まった。(写真)
調べてみると、カルアと原料は、ほぼ同じものの、砂糖きびを加工する際の工程や、長期間樽で寝かせたりと、その手間のかけかたは大きく違う。しかし出来立ての我がコーヒーリキュールを、ショットグラスで口に含んでみると、コーヒーの素敵な香織が口中いっぱいにひろがった。
今回は、いたずら半分なのでほんの少しか作らなかったものの、大量に作り、樽にでも入れて、ある程度長期間寝かせれば、もっとふくよかになるかもしれない。
本物のカルアは砂糖きび自体の甘さが良い。もし似たような物にするのなら、次回は蜂蜜でも入れてみようかと思っている。
しかし、もしかすると、そんなことを下手にするより本物の「カルア」を買ったほうが安価かもしれない。
性もコリもなく、何でも作ってみたいという気持ちがおさまらないのである。
ジンギスカン
前回も屋号のことを書いたが、今回は料理そのものを屋号にした「ジンギスカン」という店の紹介だ。茅ヶ崎駅の直ぐ側にある。
この店に行ったきっかけは、すぐ近くにあるライブハス「ステージ・コーチ」に出演したときに、他のグループが、リハーサルを終わるなり全員店から出ていった。話を聞くと、旨いジンギスカン屋があるので、このライブハウスに出演する時は、必ず行くという。
その時、私は行きそびれたが、ずっと気になっていた。
ネットで調べるとあの開高健も茅ヶ崎に住んでいた頃には足繁く通ったという歴史ある店らしい。
さっそく先日、娘と孫たちをともなって、その念願の店に行ってみた。
念の為、予約しておいて良かった。店内はほぼ満席。お世辞にもきれいとはいえない。なんとなく昭和の居酒屋というか、下町風な店内には、もうもうと煙が立ち込め、うまそうな匂いが充満している。
北海道のジンギスカンのように、兜のような丸い鉄板で焼くものを想像していたのだが、ここはガスコンロで焼く普通の焼肉屋のようだ。
このガスコンロが、また昭和レトロ的なコンロで懐かしい。
壁に手書きで貼ってあるメニューには「ジンギスカン」の他にも、ホルモンや、普通の焼肉屋のようにカルビとかタン、野菜もある。
私は一人、酒をチビチビやりながら横目で見ていると、大学生と高校生の孫ふたりは、ものすごいピッチで食べている。もうそろそろ終わりかなと思っていたら、更に肉をオーダー。どんぶりメシもきれいにたいらげ、満足そうだ。
4人で満足するまでたいらげても一万円以下、なんともありがたい店である。
「とどろき三丁目五番地」
食堂、レストラン、居酒屋の屋号は色々あるものの、最近は屋号が思い出せないことが多々ある。美味しいイタリア料理店やタイ料理屋の屋号など、外国語だと一層覚えられない。美味しいから再訪したいと思うものの、予約するにも屋号が出てこなければどうしようもない。
つい先日、居酒屋で昔のバンド仲間と一献やった。この店の屋号が突飛だ。所在地をそのまま屋号にしている。「とどろき三丁目五番地」という名前の居酒屋だ。東急大井町線の等々力駅の直ぐ近くにある。
この近くに、レンタルスタジオがあり、以前はリハーサルの帰りによく寄った店だ。音楽仲間とすごすひと時がすきだった。
このスタジオには、我が家から車で行けば第三京浜を出てすぐなので40分もあればつくものの、帰りに仲間とこの店で飲むのが楽しみで、電車を乗り換え1時間半もかけて、重いギターを背負って行ったものだ。
階段を上がり、ガラリ戸を開けて中に入る。左側にはカウンター席、そして厨房に立つのは、いつもの料理人だ。右側はテーブル席が並んでいる。今回もいつもの一番奥の席におさまった。
まずは乾杯、そしてお刺身の盛り合わせ(写真)をいただく。季節柄、銀杏の塩焼きも旨い。さらに馬肉の刺身は生姜醤油が良い。天ぷらも、サクサクと軽く揚げてある。酒も進み、声も高らかに昔の思い出話しに花が咲く。
とにかく、ここの料理は何を注文しても旨いのだ。お魚、野菜、肉料理、揚げ物などなんでもござれだ。
気がつけば、三時間近くも経っていた。
秋の夜、愉快な仲間、美味しい料理に旨い酒、これに勝るものなし。
思い出の酒
酒には、いろいろな思い出が宿る。
高校生の頃、真夏のテニスの試合で汗が滝のように流れたあとに、不良仲間の自宅で勧められてのんだビール、はじめてビールを旨いと思った。
金木犀が香るこの季節になると、思い出すのは「桂花陳酒」という中国の酒だ。
もう50年ほど前になるだろうか、毒蝮三太夫さんが連れて行ってくれた原宿界隈の小洒落た中華料理屋で、彼が食前酒として勧めてくれたのが、この酒だ。ほんのりと金木犀の香りがする甘い酒だ。そのときはオンザロックでいただいた。炭酸で割ってもいいと思う。それ以後、この季節になると思い出す酒だ。
今はなくなってしまったが、茅ヶ崎のパシフィックパークホテルのプールは、どことなく海外のリゾートを思わせる雰囲気だった。ご近所に住んでいたブレッド&バターの二人と、当時、私が番組を担当していたかまやつひろしさんと、このプールに行った。夕闇迫り、徐々に人も減ってきた頃に、ムッシュかまやつが、マティニを飲みたいと言い出した。そこで私はホテルのボーイさんに掛け合って、人数分のマティ二をプールサイドまで運んでもらった。しばらくすると、白いユニフォームを着たボーイさんが、銀盆のうえに乗ったマティ二をしずしずと運んできた。そして皆で乾杯。今、思ってもキザなことをしたと思うが、そんなことが似合うプールだった。このホテルにはいろいろな思い出がある。
その昔、広尾の交差点近くに「ボウモワ」というスコッチウイスキーの名前を屋号にしたバーがあった。それまでは、ウイスキーはあまり好きではなかった。旨いとも思わなかったが、このバーに連れて行ってくれた某広告会社の人に勧められ、はじめてシングルモルトウイスキーを飲んだ。びっくりした。ウイスキーというのはこんなに深い味の素敵な酒だったのだ。はじめてウイスキーを旨いと思った。いままで、時々飲んでいたウイスキーとは、えらい違いだ。それ以後、足繁く通った。私がスコッチウイスキーファンになったのは、このバーがあったからである。
ほかにも、酒にはいろいろな思い出があるが、失敗の苦い思い出もたくさんある。とてもご披露できる思い出ではないので、思い出の酒の話はこの辺で。
おでん
例年に比べ、気温が高い日が多いのに、確実に季節は巡り、彼岸には真っ赤な曼珠沙華が咲き、朝日に照らされて白く輝くすすきの穂は風になびいている。そして、なんとなく「おでん」が食べたい季節でもあるのだ。
気がつけば、スーパーには、ビニール袋に入ったおでんセットが並んでいる。
袋詰のおでんセットには、はんぺん、ちくわなど練り物が多い。そして賞味期限が驚くほど長いのは不思議だ。悪く言えば、妙な防腐剤でも入っているのではないかと疑ってしまう。とは言うものの、災害時などの非常食にはいいかもしれない。
練り物で腹を満たすのは、どうも感心しないので、私は袋物を避ける。
私がおでんネタとして好きなのは、大根だ。袋物を見ると程よい色に煮込まているが、自分でつくるとなると、あの魅力的な飴色にまで煮込むのには時間がかかる。お箸で切れるぐらいトロトロに煮込んだ大根のほろ苦い味は、酒にもよくあう。
私の好きなネタは袋詰には入っていない。それはタコだ。タコは串にさして、食べる少し前に鍋にいれる。時間が長いと固くなってしまうので、ほんの数分で出汁の味が染みたら食べ頃だ。ほかのネタとしては里芋、牛すじ、昆布、豆腐などが好きだ。
余談だが、以前は夜遅く帰宅したときなどは、近くのセブン・イレブンでおでんを買って帰ったものだが、最近は見かけなくなった。小腹をすかした時などには便利だったのに。
おでんには、やはり日本酒だ。熱燗は口にきついので温(ぬる)燗がおでんには合う。いつも一人飯の私は、上の写真のように、事前に温めてある鍋を、愛用の小さな火鉢の上に移し、おでんを一つずつ皿にうつして食べる。鍋は熱くなりすぎないよう、宿屋や居酒屋などで使われている固形燃料が良い。着火も簡単だ。小さな食卓に小さな火鉢と鍋、そして温燗があれば、言う事無し。一人爺のメシのお付き合いは、撮りだめした「虎さん」がおでんにはよく似合う。

酒肴
自制心が欠けているのか、勤めていた会社の風土のせいなのか、理由はさておいて、昼と夜の食事に酒が欠かせなくなった。徐々に体重も増え、血圧も上昇、これではいかんと、10年ほど前から散歩をしたり、泳いだりするように努めてきた。そして2年ほど前から家でのランチはノンアルビールとした。ベルギー産の旨いノンアルビールが見つかったこともある。
しかし、晩飯を喰う前奏としての晩酌だけは欠かせない。夕暮れとともに、一杯やりたくなるものの、六時半まではガマンだ。
晩酌には、酒肴が欠かせない。量は少しでいいが、酒だけではもの足りない。晩酌ははビールやホッピーが多いが、マティニ、ブラディマリー、猛暑の日にはジャマイカラムも良い。その酒に合わせて酒肴を作る。いわゆる袋に入っている「乾き物」は好まない。
夏はなんといっても茹でたての枝豆とビールが一番だ。きゅうりの塩もみも良い。自称「アンチョビキャベツ」と読んでいるツマミも作る。キャベツとアンチョビを一緒に軽く炒めるだけだ。キャベツのパリパリ感が残る程度にサッと炒めるだけなので、あっという間にできる。たまにはフライドポテトも作る。多めに作り、揚げたてのポテトを孫にも分ける。腹をすかせた孫たちはハイエナのようにたかってくるなりケチャップをかけるのだ。私は、その喰い方があまり好きではない。
自称「チーズトティア」というのも得意だ。タコスに使うトティアにとろけるチーズを乗せて、トースターで焼くだけだ。小さな薄ぺたいピザ状のものだ。ピザのように放射状に六等分してつまむ。
天気の良い日には、二階のデッキで晩酌だ。暮れゆく山々と相模湾、町にはポツポツと電気が灯りだす。至福の時だ。
七時から、テレビの報道番組を見ながら食事の支度をはじめる。そして七時半、遅くとも八時には食事を始める。そこで、再び呑み始める。食事のお供にはワイン、日本酒が多い。食事の後片付けが終わると、腰を据えて、またチビチビとウイスキーかバーボンをやる。ツマミはチョコレート、チーズが多い。
こうやって改めて記してみると、やっぱり呑みすぎだよね。
私は、もしやアルコール依存症なのではないかと不安になり、突然に狂ったように一週間ほど禁酒生活をおくることもある。
禁酒があけた日の晩酌が、これまた旨いのである。
酒器
旨い酒は、素敵な酒器で飲みたい。酒器が素晴らしければ、酒も一層旨くなる。ビールは、やっぱりジョッキが良い。小洒落た和風料理屋で小さなグラスにビールを注がれるのは苦手だ。何度も何度も注がねばならない。ビールはチビチビやらず、一気に喉を潤したいものだ。やはり、少し重たげな厚いガラスのジョッキが良い。
飲む酒により酒器が決まる。ワイングラス、マティニグラス、ショットグラス、日本酒の酒器に至っては磁器・陶器から漆器に至るまでいろいろな楽しみ方がある。
旅先で買った酒器、素敵な人からのプレゼントされたグラス、親から譲り受けた酒器など、酒器には思い出が宿る。
我が家には、いつの間にか各種の酒器が溜まってしまった。
昔は、バカラなど高価なグラスや名のある人が作った盃などは大事にしまい込んで眺めていたものだが、年を重ねるとともに気持ちは変化し、眺めているよりも、どんどん使おうということにした。
客人がくれば、最高の酒器で迎える。話にも花が咲き、酔もまわり、手が滑って破損することもある。それでも、ただ飾っておくよりは、使ったほうが酒器の本望というものだ。
上の写真は、親から譲り受けたクリスタルグラスである、鋭いカットグラスだが、どこのものか、どんな縁のあるものかは分からない。バカラなど有名なグラスのように底にも銘は記されていない。これも一脚減って、今は五脚となった。
能登半島一周の旅をした時は、大枚をはたいて輪島塗の盃を買った(写真)。これで酒を飲む時は、寒さに震えながら一緒に旅をしたブラジルの義兄、アメリカの義妹、今は施設に入居したが当時は元気だった妻との楽しい旅の思い出が蘇る。そう言えば、珠洲市でも珠洲焼の一輪挿しを買った。朝市にも行った。
久しぶりに今夜は思い出の盃で一献やりながら、能登の少しでも早い復興を祈るとしよう。
仙鳳趾(せんぽうし)の生牡蠣
私の好きな雑誌「Dancyu」10月号、今回の特集は「そこに行かなきゃ味わえない! ニッポンの旨いもの」。
本を開いてすぐに、いかにもうまそうな生牡蠣の写真が目にとまった。大好物の生牡蠣である。
本によれば、北の二大産地は、仙鳳趾と厚岸(あっけし)とのこと。
「仙鳳趾」、はじめて聞く地名だ。釧路の近くらしい。ここの牡蠣が絶品だという。いつか、北海道にでも行ったときには忘れずに、と思ったものの、こんな美味そうな写真を見てしまうと、無性に生牡蠣が喰いたくなった。生牡蠣の禁断症状だ。
オイスターバーまで行けば生牡蠣は食べられるが、私の知っている信用できる店は都内にしかない。なんとかならないか。そこでパソコンで「生牡蠣 鎌倉」と検索。何軒かの店がひっかかってきた。以前行ったことのある店も含まれている。その店の印象はあまり良くなかったのでパス。店の様子があまりきれいでないところもパス。

絞り切ったのが「COCOMO」という、イタリアンレストランだ。長谷の海沿いにあるらしい。いつも車で通っている海沿いの道なのに、気が付かなかったビルの2階にあるとのこと。半信半疑でランチに出向く。海が目の前に見え、清潔そうな店だ。店内は、ほぼ満席のお客様。念の為予約しておいて良かった。
メニューとは別にA4の紙に「今日のおすすめ」と書いてある。
その1行目、なんという偶然だ! 「仙鳳趾の生牡蠣」とあるではないか。
迷うこと無く2個をオーダー(写真)。クラッシュした氷の上に、プックリと膨らんだ、中ぐらいの大きさの牡蠣だ。見るからに美味そうだ。何もかけずに、そのままペロッとたいあげる。その濃縮されたクリーミーな味わいに満足。キリッと冷えた白ワイン、鎌倉ビールもおいしくいただいた。
ランチのパスタもモチモチで腰もある。たぶん生パスタだろう。カウンターの向こうにはいかにもベテランたるシェフが忙しそうに働いている。店員の対応も、気取ること無く好感がもてる。近い内に再訪したい店になったが、雑誌にもあるように、「そこに行かなきゃ味わえない」。
いつの日か仙鳳趾と厚岸に行って、当地の牡蠣小屋で、とれたての生牡蠣を味わってみたいものだ。
<お店情報>
Ocean harvest cocomo
〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷2丁目8−8
https://www.kamakura-cocomo.com

夢となった「天国にいちばん近い島」
もう、7年も前のことになる。旅仲間6人で、初めてニューカレドニアに行った。当地には、以前の仕事仲間のK夫妻が住んでいることもあり、いわゆるパッケージツアーではなく贅沢仕立ての旅行である。ニューカレドニアといえばフランス領、ということはメシもワインも期待が膨らんだ。
ある晩、K夫妻のご自宅に招待され、彼らの手作りによる豪華な食事会となった。
世界のシェフが絶賛する「天使の海老」を始め、フォアグラ、キリリと冷えたワイン、南国ならではのフルーツなど、さんざん食い散らかし、気がつけば日付が変わっていた。

その思い出のニューカレドニアに、この5月、原住民による暴動が勃発したことは、日本でもニュースで大きく取り上げられた。
我々が乗ったエアー・カラン(ニューカレドニア航空)の直行便もなくなった。気にしていたところ、現地のK君から、最近の当地の様子がメールで送られてきた。少し長くなるが、そのメールを紹介する。
『いま多くのニューカレの人々は9月24日が近づくにつれ、戦々恐々とした日々を送っています。その日は「Fête de la citoyenneté 」と言って、国民の祝日です。「ニューカレドニアの日」、「ニューカレドニア市民の日」また「ニューカレドニア独立の日」などと称されています。
1853年9月24日に 「フランス領土」
となった記念日ですが、先住民「カナック」にとっては 「占領支配された日」でもある訳です。
5月13日に大暴動が勃発して以来、全く変わってしまったニューカレドニア。多少普段の生活に戻りつつあるとはいえ、事態は収まっていません。つい先日も地方の教会(由緒ある歴史的建造物)が放火されました。これで焼かれた教会は5件目です。
暴挙の限りを尽くした過激派の一部が9月24日にまた暴動を企てている動きが見られ、警察・軍隊が警戒体制を強化しています。
現在、ニューカレ全土には夜間外出禁止令(22時~5時)が敷かれていますが、21日からは18時~6時 と、より厳しくなります。16日からはアルコール類の販売も禁止されました。
恐怖と不安な生活を強いられている市民は、何事もなく、また 悪夢に苛まれることがないよう、今は祈るばかりです。』
フランス領でありながらワインさえ呑めない、夕方6時以降外出もできない、言わば戒厳令状態と言わざるを得ないだろう。
「天国にいちばん近い島」に、いつの日か再訪し、あの美味美酒に酔いたいと思っていた我々の夢は、当分かなえられそうもなく「夢のまた夢」と化した。
日本のメディアからはニューカレ情報が消え失せてしまっているので、 あえて、ここにご紹介した次第である。
<追記>
このホームページ更新前日の9/21、K君よりその後の様子がメールで送られてきた。
曰く、『24日を前にまたイヤな状況になってきました。
数日前からヌメア近郊で過激派集団が騒ぎはじめ、住宅地では深夜に爆発音、銃声、怒号奇声が響いています。地方にある伝統的な家屋(カーズ)が全焼し、昨夜は高校に火をつけるなど暴挙に出ています。
水曜日の夜には、過激派の巣窟とも言われる部落で軍隊と衝突があり、過激派2人が死亡。われわれはじっとガマン、静観するしかありません。
11月に、シドニー経由で日本行を予定しています。 また皆さんと食事できたらいいですね。』とのこと。
K夫妻の無事を祈りつつ筆を置く。

トマト酒
トマトにはリコピンという栄養素が多く含まれ、高血圧には良いという宣伝文句は聞いたことがあるだろう。トマトには他にもいろいろな栄養が含まれ、健康にはとても良いらしい。私の友人は毎朝飲んでいたら、癌が消えたという嘘のような本当の話があるほどだ。
その話を聞き、わたしも真似をして毎朝飲んでいる。どうせなら大量摂取ということでトマト料理もよく作る。カレーにトマトジュースを入れたり、煮込み料理にも使う。ミニトマトに塩をほんの少し付けて、コリコリと酒のツマミにも良い。最近はトマト酒にも凝っている。
この季節、ビールとトマトジュースをミックスすれば「レッド・アイ」というカクテルになる。「クラマト(Clamato)」(右写真)というアサリのエキスとトマトジュースをミックスしたカクテル用の飲み物をつかえば更に旨くなる。(クラムとトマトで「クラマト」とはイージーなネーミングだ)
トマト酒では、よく知られているのがブラディ・マリーだ。トマトジュースにウオッカをミックスし、ウースターソース、胡椒、タバスコ、レモン汁など好みの味付けをしてセロリでステアして飲む。
ウオッカの代わりにジンを使えば「ブラディ・サム」というカクテルになる。
更にブラディ・マリーにウオッカを入れなければ「バージン・マリー」というノンアルコール・カクテルだ。
最近、このブラディマリーを飲みたくなったものの、ジンもウオッカも切れていた。かわりに仕方なく焼酎を使った。これがなかなかイケるのだ。使った焼酎は金宮焼酎という砂糖きびを原料にしたものだ。この焼酎、特に特徴はないが、クセがないので何にでも合う。「ブラディ・ニヘー」と言う名にしようと思ったが、血まみれの私は嫌なので「ブラディ・タロー」(写真上)とでもしておこう。
朝コップ一杯のトマトジュース、日暮れになればトマト酒、通販のサブスクで安価にしてラベルレスのトマトジュースが隔月で大量に配達される。今のところ順調に消化しているものの、はたしてこれで血圧が下がるのか。
残念ながら、いまのところそれほどの効果はない。
BAR “VICTORY”
旅先で、その地のバーや居酒屋に行くことは多い。呑兵衛にとっては、その地ならではの酒肴や地酒も楽しいものだが、その旅が終わってしまえば、良い思い出となるだけだ。
しかし今回、呑兵衛仲間と行った沼津のバー「VICTORY」は、初めて再訪に値するバーとなった。
噂には聞いていたが、沼津観光の目的のひとつに、このバーを入れている人もいるという。
沼津駅の近くとはいえ、住宅街にポツンと鎮座するこのバーは1978年創業というから、50年弱も続いていることもあり、いわゆるオーセンティック・バーという雰囲気である。
道路から数段上がったところにある重厚なドアを開け、さらに階段を上がる。大きなカウンターの中には初老のバーテンダーがブラックスーツに身を包んでいる。店内は、ほどよい明るさの照明が良い。ステンドグラスの窓、アンティークらしき飾り物も所々に置いてあるが、決してオーバーデコレーションにはなっていない。心地よいBGMもうっすらと流れている。
我々は人数も多いので、重厚感あふれる木製のテーブル席についた。メニューはないが、カクテルの難しい名前を覚えていなくても、その日の気分や体調を伝えれば老バーテンダーが、それなりのカクテルをミックスしてくれそうだ。
私は、久しぶりに好物のドライ・マティニを注文。黒のユニフォームをまとったボーイが、まず冷え切ったグラスを持ってくる。そのすぐあとにバーテンダー自らがミキシンググラスに入ったマティニをグラスに注ぎに来てくれる。レモンの皮をつまみ、表現は悪いが神官のお祓いのように、さらっと霧をとばして去ってゆく。
このマティニは絶品だった。大好きなマティニなれど、有名無名を問わず、いろいろな所で飲んだが気に入ったミキシングは少ない。ここはベスト3に入る。
つまみに出てきた自家製のキーシュもこれまた絶品であった。
ホテルに帰るべくタクシーをよんでもらう。驚いたことに、バーテンダーとボーイがわざわざドアの外まで来て、頭を下げて見送ってくれた。
妙に肩が凝ることもなく、本当にリラックスして飲めるお気に入りのバーになった。ぜひ再訪したいものだ。
<お店情報>
BAR 「VICTORY」
055-962-0684
おうち生ビール
ビールといえば缶ビールが普通だが、やはり瓶ビールのほうが旨い。そして、できれば樽生ビールと行きたいところだ。
缶ビールや瓶ビールにも「生」と表記してあるものは多いが、やはりタップからジョッキにそそがれる黄金の生ビールに勝るものはない。
昔は、大勢があつまってのパーティなどには、業務用の最も小さな5リットルのタンクを酒屋に予約し、業務用サーバーと大きな思いガスボンベをレンタルし、翌日には酒屋に返却に行くという面倒な手間を掛けてまで、生ビールを飲んだものだ。
数年前、そんな飲み仲間の情報で知ったのが、写真の輸入樽生ビールだ。
以後、我が家のパーティにはかかせない物となった。
何しろ、サーバーとかボンベとか大げさな用意は一切いらない。付属のタップをセットするだけで、旨い生ビールが飲める。飲みきれない場合も横に寝かせて冷蔵庫にいれれば、また翌日でも充分楽しむことができる。しかも賞味期限は3ヶ月。飲みきったら、不燃ごみで出すこともできる。
同じ形式の生ダルは3種類ほど発売されているが、写真のクロンバッハは愛好者が多いのか、いつも品薄だ。ハイネッケンは比較的容易に手にはいる。缶や瓶のハイネッケンは、あまり旨いと思わなかったが、この樽生を飲んで少し見直した。
ドラフトケグ・ジャパンという会社が扱っているが、今はアマゾンでも購入できるようになった。しかし、旨いクロンバッハは在庫切れとなっていた。
いくつかの日本のメーカーも、家庭用の生ビールを販売しているが、初期には専用のサーバーが必要だったり、サブスクだったりと、すこし面倒だ。それに比べ、ご紹介の樽生は、ほとんど手がかからない。
家庭用樽生ビールに関しては、日本のメーカーは遅れをとっていると言わざるを得ない。
今回ご紹介した樽生ビール、本当に旨いので、ぜひお試しを。
昼飲み
私こと、不真面目な社員は、ランチはレストランなどで外食し、一杯飲んでいたものだ。不真面目な上司も一緒だった事がよくある。時には不真面目な役員にも誘われたものだ。常識人から見たら、なんという非常識な会社だろうと思う。会社は赤坂という土地柄、昼間から酒を出す店には事欠かなかった
そんな悪習をひきずったまま63歳でリタイアした私は、その後も昼飲みは続いていた。スパゲティにはワイン、蕎麦には日本酒、丼ものにはビールだ。毎週一度の瓶缶のゴミ出しは、恥ずかしくなるぐらい大量のゴミが出た。
というものの、時代の流れか、歳のせいか、妙に健康意識が高まり、70歳になった頃を堺に、家での昼飲みはやめようと思ったものの、なにか口さみしい。そこでノンアルコールビールを飲み始めた。近くの酒屋に行けば、やれ、オールフリーだとか、記憶力を伸ばすとか、いろんなお題目のノンアルビールを売っている。しかし、はっきり言って、どこのメーカーもまずい。とても満足のいくものではない。
粘着質な私は、国内外のノンアルコールビールを徹底的に比較し尽くした結果、合格点なのが上の写真のベルギー製のクラウスターラーというノンアルビールだ。合格点と言っても私の好きなエール系やIPAより旨いはずはないが、黙っていれば普通のビールと区別はつかないと思う。
私はネットで溜め買いしている。店頭販売は見たことがない。
昼飲みはこれを定番とするものの、やはり夕日が沈む頃になると、本物の缶ビールに手が伸びる。
枝豆を茹でたら、デッキに出て、プシュッ、プハ〜〜。やっぱり、これだよな〜〜。
雲は橙色の濃さを徐々に増し、富士はシルエットとなる。江の島灯台は10秒毎にキラっと光る。昼飲み酒は、なんとか克服したものの、夕方のこの至福の時間は捨てがたい。
魚と寿司「えにし」
なにやら、若者の間では、フィルムのカメラ、レコードプレーヤー、カセットデッキなど昭和レトロが流行っていいるらしい。お台場や、横浜のラーメン博物館など各地で、昭和の町並みを再現しているところがあるらしい。
私達、昭和の人間からすると、懐かしさとともに、なんとなく妙な気持ちになるものだ。
ここ、鎌倉には昭和から続いている一画がある。鎌倉駅の直ぐそばにある「丸七商店街」。商店街の入口を入れば、なんとなく薄暗く、どことなく薄汚れている様子は、まるでタイムスリップしたかのようだ。パン屋、雑貨屋、花屋、ブティック、そして酒飲みには寿司屋、焼き鳥や、居酒屋など小さな店が肩を寄せ合い並んでいる。
この中に、わたしのお気に入りの寿司屋「えにし」がある。カウンター六席だけの小さな店だ。

地酒は地元で
地酒と言うと、日本各地に旨い酒蔵があるが、世界各国にも独特の旨い酒がある。
私が現役の頃、音楽番組の取材でジャマイカに行ったことがある。ジャマイカと言えば音楽はレゲエ・ミュージック、コーヒーはブルーマウンテン、そして酒はジャマイカ・ラムが有名だ。
レゲエミュージックのスタジオ取材では、特殊な楽器以外は全て日本製の楽器なのにびっくりした。コーヒー農園で、旨いブルーマウンテンコーヒーを所望したら、グレードの高いコーヒー豆は、すべてニューヨークと東京に送っていると聞き、これもびっくり。しかしホテルのバーで飲んだラム酒は、本当に美味かった。ライムを縛りオンザロックで飲んだ。
話は変わってブラジルはサンパウロの義兄に教わった「ピンガ」(カシャーサとも言う)という、砂糖きびを原料にした蒸留酒、これについては前回の「木楽」ページでも触れたが、地元ではライムを絞った液と砂糖を混ぜてカクテルとして飲む人が多いが、私はロックで飲む方が好きだ。
余談だが、サンパウロの街頭に出ている露天で絞ったばかりの砂糖きびのジュース、これはとてもふくよかな甘さで美味しいです。
毎年、11月のボージョレーヌーボの解禁はニュースでも取り上げられるが、もう20年ほど前に、仕事でフランスに行った時、タイミングよく解禁日だった。ホテルのロビーではデモンストレーションで小さな紙コップで無料で味わうことが出来た。某広告代理店の女性社長が気に入り、帰国の際、空港で私に聞いた。「ね〜稲生さん、ワインはたくさん売っているけど、ボージョレーっていうお酒はどこで売っているの?」。これは、ちょっとした笑い話。
話を戻す。
最近はクラフトビールとか地ビールがブームになっているが、私が初めて沖縄に行ったときに、多湿高温のなかで飲んだオリオンビールの生ビールのさっぱりとした喉越しがとても気に入り、朝から飲んでいたものだ。最近、オリオンの缶ビールは近所の酒屋にもあるので、飲んでみたが、あの感激には遠く及ばない。
イギリスのパブで飲む、常温のビール、メキシコで飲むテキーラ、 行ったことはないがロシアのウオッカ、そしてアフリカにはバナナやヤシを原料にした酒もあるらしい、アジアにもいろんな酒があるのだろう。
やはり、現地の気候や原産植物がその国ならではの酒を生むのだから、現地で飲むのが良いのだろう。
「世界一周、地酒の旅」なんていうツアーがあったら是非参加したいのだがーーー
ライブバー「Ocean’s Beat」
「酒と音楽」、私にとって、この取り合わせがサイコーだ。ちびちびやりながら音楽を聞くも良し、歌うのも良い。そんなお店が藤沢のライブバー「Ocean’s Beat」だ。(店情報は文末)
いわゆる「ライブハウス」のようにお客様と演奏者の間に壁がないのがライブバーと言えるのだろうか。
近所仲間に連れられて初めてこの店に行ったときには、正直びっくりした。壁には多くのギターやウクレレがぶら下がり、ちょっと狭いけれどステージにはドラム・セット、キーボード、各種のアンプ類、譜面台から何本ものマイクなどが、常時ミキシングアンプに繋がれていて、いつでも演奏が可能だ。
さらに、店内各所にカホンやボンゴ、大型の電気ベース、ほとんど全ての楽器や機材が用意されている。
曜日によって、音楽のジャンルに傾向があるようだが、私の好きなのは火曜日のアコースティック系の音楽を中心にした日だ。

楽器もあり設備も整っているのに、それでも自分の楽器を持ち込むような、凝った人も多い。お客様も、ここで知り合った人達が多いらしく、演者もお客様もまるで昔からの友人のようだ。
このようなライブバーは都内の某所にも行ったことがあるが、ここOcean’s Beatのお客様のレベルは、他の店と比べ高い。なまいきなことを言うが、それなりに聴かせてくれるお客様が多い。
また、ここのマスター「バッキー」さんが、実に素晴らしい。心くばりもあるし、マイクやアンプのミキシングなど、演者に対してのフォローも素早い。そして、なんと彼の歌もギターもお客様を楽しませてくれるのだ。
7/15で開店4周年、これからも酒と音楽の好きな輩(やから)のたまり場として、大いに楽しませてくれる店だ。
<お店情報>
「オーシャンズ・ビート」
藤沢市南藤沢2-10 ワカバビル5F
0466-47-2347
藤沢駅南口を出て左へ。フジサワ名店ビル横を東へ約1分。
1階に牛丼の「松屋」があるビルの5Fです。
https://oceansbeat.jp

美味を求めて
沼津と三島へ
娘たちと7歳の孫との小旅行については「鎌倉山暮らし」のページに書いた。そして、この旅の計画段階から決めていた二軒の名店の味を堪能した。
まず、三島の鰻屋、安政三年創業の「桜家」だ。
食通の姪っ子の情報をもとに行ってみた。お昼時は過ぎているのに、激しく降る雨にもかかわらず、店の外には10人以上の列が出来ていた。私達は、直前に予約をしたこともあり、数分待ちで入ることが出来た。店員のキビキビした対応が気持ち良い。私は、車のキーを娘に渡して、まずビール。
つまみにキモの時雨煮、絶品なり。孫は卵が好きなので「うまき」も頼む。上品な卵焼きの中心に鰻が巻かれている。そして鰻重。ふわっと柔らかく、ふくよかな鰻に、ほの甘いタレ、ついうなってしまった。アメリカ育ちの孫は、好き嫌いが多いらしいが、始めて食べる鰻は気に入ったようだ。大満足の昼飯だった。(店の情報は文末)
そして、沼津の寿司や「双葉寿司」、数年前に旅行仲間と当地に行ったときにホテルのコンシェルジュが言うには「ここなら間違いありません」という情報で行き、大満足した店へ再訪だ。
今回は、旅に出る前に予約しておいた。沼津漁港の周りには寿司屋とうなぎ屋が軒を並べる。平日というのに無料のパーキングはいっぱいなので仕方なく有料Pに駐めたが、後に専用駐車場があるのを知った。次に来るときには、ここに駐めることに。
ここも、店員や板前の対応がとても気持ち良い。まず最初に刺し身の盛り合わせを頼み、生ビールで乾杯。そして、カウンターで大人たちは好き好きに注文。孫は大好きな卵にぎりを7巻も食べて大満足。
にぎりの造作も上品、小さな酢飯のにぎりも呑兵衛には最高だ。酒も進めば、酔も進む。
近い内に再訪することを心に秘めて、大満足の寿司だった。
<お店情報>
■鰻「桜家」
静岡県三島市広小路町13-2
055-975-4520
11:00〜20:00(売り切れじまい)
毎週水曜日定休(月1回 火水連休)
■寿司「双葉寿司」
静岡県沼津市千本港町121-8
050-5304-1831
平日: 昼11:00 〜 14:00 L.O. 13:30
夜16:30 〜 20:00 L.O. 19:30
日土祝: 11:00 〜 20:00
売り切れ次第終了
毎週火曜日定休(祝日の場合は営業し翌日休み 月1回水曜休みあり)
美味の条件
美味い、不味い、は何が基準になるか。味はもちろん、誰と食べるか、料理の盛りつけ方などの、さらには周りの雰囲気も影響するだろう。
私は、外メシでも家メシでも、ひとりメシの機会が多くなった爺だが、これは仕方ないこと。
外食で一人メシが多くなると、気になるのが店員の対応だ。メシ屋でも居酒屋でも、気持ちの良い店員のいるところは概して「旨い」。
店員の対応で度々話題になるのは横浜中華街の小規模の、俗に「旨い」とされている店だ。店員の態度は横柄で、まるで「喰わしてやっている」という対応の店があると聞く。どんなに「味」がよくても、そんな店には行く気がしない。反対に、頼みもしないのに、やたら世間話をされるのも、難聴の私としては余計な神経をつかうので避ける。
話題はそれるが、床屋もそうだ。客に慣れてくると、やたら世間話をする床屋が多い。私の住んでいる地域でも何軒かの床屋に行ったが、世間話がサービスとでも思っている店が多い。現在行っている店は無口、安い、早い、最高である。
話を戻す。
ハキハキと気持ちの良い対応、スマイルがあり、キビキビと働く、そんな店員のいる店はファンになる。
そんな中で、最近気に入っている店は、藤沢の「八雲」という店。なんと、小さな子連れで飲みに来ている人もいるが、店員も客も、なんとも明るい雰囲気に包まれ、もちろん酒もつまみも旨い。
以前に触れたこともあるが、大船の「いつまる」、小さな居酒屋でたった一人の板さんが、なんとも気持ちの良い対応をしてくれる。
そして、鎌倉由比ガ浜通りの「Slove」と言う蕎麦屋。女性と男性の若い店員の対応が気持ち良い。そして一所懸命に働いている姿が美しい。
酒飲みは、いつも旨い店、美酒をもとめて徘徊する。そして、気持ちの良い対応の店をみつければ、足繁く通うのである。
飲み屋、メシ屋にかぎらず、これは、自分も常に心がけねばならないことだと思った次第である。
「ホッピー」バンザイ
以前、この稿で居酒屋を取り上げたが、そこで思い出したのが「ホッピー」である。他に類を見ない日本が誇る飲料は「カルピス」と、この「ホッピー」だけ、とも言えるだろう。
この「ホッピー」、意外にも、私の周りには飲んだことのある人が少ないようなので、知らない人のために、少し蘊蓄(うんちく)をたれる。
ホッピーは戦後、ビールが高嶺の花だった頃にビール代用品として生まれたものと聞く。なんとなく貧乏くさい飲み物というイメージは抜けきれないが、材料は本物のホップを使っているので、なるほどビールに近い。
戦後に販売された頃の成分は知らないが、現在販売されているものは低カロリー(ビールの1/4)、低糖質(1.7g/100ml.)、プリン体ゼロ。飲み慣れれば、本当に「うまい」と思う。飲み方は焼酎の割材として使う。だいたい1:5ぐらいの比率だ。それでもアルコール分は約4.8%で、ビールよりもわずかに低くなる。グラスは事前に冷凍庫で凍らせ、焼酎は瓶ごと冷蔵庫で冷やしたものを使う。全て冷えているので氷を入れない方がお勧めである。居酒屋には氷を入れる店が多いので、「氷いりません」と言っておく。
ビールと同じような色と、黒の2種類が売られている。私は黒ホッピーのファンだ。割る焼酎は「キンミヤ焼酎」という、砂糖きびを原料とした焼酎が合う。この焼酎も驚くほど安価だ。
居酒屋などでは、この焼酎のホッピー割を製品名の「ホッピー」、または「ホッピーセット」としてメニューに載っている。
また、店によっては「生ホッピー」がある。これがまた旨い。私の住んでいる近辺では大船の「なお吉」でしか飲むことが出来ない。
日本独特の酒文化「ホッピー」一度、試してみては如何でしょう。
<蛇足>このホッピーを生産している「ホッピー・ビバレッジ社」が出しているコーラのような飲料「コアップガラナ」もなかなか旨いのです。
お魚亭
娘が一時帰国、さっそく刺し身や寿司が喰いたいという。その夜は大人四人なので回転ではない寿司にすべく、行き慣れた寿司屋に連絡を入れたが、その日は予約がとれなかった。そこで、行ったことはないが気になっていた「お魚亭」という店に予約を入れた。なかなか評判も良いようだ。6時半は満席とのこと、7時なら取れるということで、さっそく行ってみる。
場所は、七里ヶ浜は観光客で賑わう「珊瑚礁本店」のそばだ。店内は明るく清潔そう、カウンター席に加え、テーブル席が4箇所、我々は6人がけの大きなテーブルに通された。珊瑚礁とは対象的に、ここは地元の奥様方に人気なようで、ほぼ満席。 予約しておいて良かった。
まずは恒例の生ビールで乾杯。とりあえず刺し身をいろいろつまむ。イワシ料理が得意とのこと、さっそくイワシの天ぷら、そして大葉揚げは二枚の大葉の間にイワシのつくねが挟まっている。久しぶりに話にも花が咲き、酒もすすむ。あいた徳利は4本、ほかにも娘は白ワインも飲んでいた。にぎりの盛り合わせもいただき、最後はいわしのつみれ汁、これは絶品。近くなので、また行ってみようと思っている。
写真:イワシのつみれ汁、大葉揚げ(中にイワシのミンチがはさんである)、イワシの天ぷら、寿司
<お店情報>
「お魚亭」
鎌倉市七里ガ浜東3-1-9
0467-31-9890
専用駐車場あり
呑兵衛爺の戯言
「居酒屋バンザイ」
私は、列に並ぶ、立喰い、時間制限の飲食店は避ける。忍耐強くないので、コース料理のように、待たされるのも苦手だ。耳が悪いので、フレンチレストランなどで、囁くような料理の説明は聞こえない。
何と言っても、旨くて、早くて、余計な御託がない、しかも安価な居酒屋は最高だ。バーやパブと違い、酒の種類も豊富だ。基本的には日本酒、焼酎が中心となるが、各種のカクテルやウイスキーなどが置いてある店も多い。カウンター席の店が多いので一人でも入りやすい。
都会ならいざ知らず、このような辺境の地にすんでいると、気軽に歩いて行くことが出来る飲み屋はない。しかたなく、我が家でTV相手に一人飲みが多くなる。しかしテレビもつまらない、となると、たまには飲みに行きたくなるものだ。そんなときはバスに乗って、少し遠くまで足を運ぶ。
偶然入った大船の某居酒屋が気に入った。路地を入った狭い店だ。半月ほど後に再訪した。ガラッと引き戸を開けるなり、カウンターの中のオヤジが手を振りながら「あっ、この前いらしたときに気に入っていただいた〇〇というお酒、まだありますよ」。
たった一度しか行っていないの、ちゃんと覚えていてくれたことに感激した。これが職人芸というのだろうか。
気を良くして、その後何度か行ったが、徐々にファンが増えて、最近はいつも満席だ。ミミッチイ話だが冒頭の写真、ライバルが増えたので敢えて屋号の入っている写真は紹介しない。
酒飲み爺にとって居酒屋はありがたい。
居酒屋は日本の文化だ。
ドライマティーニ
まず、マティーニグラスと、ミキシング・グラスの両方に氷と水をいれて、カクテルスプーンでカラカラとかき回し、冷やしておく。
冷蔵庫からオリーブとレモンを出す。オリーブを楊枝に刺し、レモンの皮をほんの少し切り取る。棚からドライ・ベルモットの瓶と、冷蔵庫の冷凍室からジンの瓶をとりだして、これで準備完了。
ここからはスピーディに進めないと水っぽいカクテルになってしまう。
冷えたグラスから氷と水を一度捨てて、ミキシンググラスには新たに氷をいれる。そこにドライベルモットとジンを注ぐ。私の場合、その比率は1:7ぐらいだ。カクテルスプーンでほんの数回ステアし、氷がとけだす前にマティニグラスに注ぐ。そこにオリーブを入れ、レモンの皮を絞る。我がドライマティニの作法である。こうして、書いてみると面倒そうだが、慣れてしまえば大したことはない。たった2種類の酒をミックスするだけの、いたってシンプルなものだが、それなりに奥が深いカクテルだ。人によってミックスの比率も違うし、他の酒やビターを入れたりと、それぞれにこだわりがあるようだ。
一口すすれば、ジン本来の風味に淡いレモンの香りを乗せて、アルコールのキリっとした切れ味が舌を痺れさせる。そして、茜色に染まった夕空に、乾杯。この瞬間が好きだ。
不思議なことに、日本のバーには、カクテルと言えば、女性向きの甘いもの、というイメージがあるらしい。アメリカではどんな田舎の小さなバーでもドライマティニを飲むことが出来る。日本ではカクテルの王道とも言える、旨いドライマティニになかなか出会えないのは、とても残念なことだ。
